Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

171007 化石研究会「第148回久慈公開例会」を開催しました!

2017.10.09 11:24

 日本古生物学会運営の化石研究会第148回例会が北三陸久慈市で開催されました。


 久慈の例会は「久慈で見つかった恐竜時代の生き物たち」をテーマに公開シンポジウムの形で行われ、10人が講演発表報告を行いました。


 また、シンポジウム開会前には㈱日立製作所中央研究所の馬場里香さん等による「単色放射光CTによる化石の高精細三次元観察」についてのポスター発表がありました。


 例会は大学、博物館、研究所や民間の研究者のみなさんの参加報告と久慈地域や秋田、八戸、盛岡などからの聴講者併せて60余名の盛況となりました。



 この公開シンポジウムは、早稲田大学国際教養学部の平山廉教授が組織して白亜紀後期の久慈層群玉川層(久慈市小久慈町大沢田川支流域)発掘調査を進めてきた通称「平山調査団」の約10年近く=12次に渉る調査成果を久慈・北三陸地域の皆さんに報告還元しようとするもので、今後も定期的に継続開催することが望まれています。



 公開例会は化石研究会主催ですが、発掘調査に特別協力してきた久慈琥珀㈱さん、後援の久慈市・久慈市教育委員会、ジオパークサイドからの北三陸大地の恵み・ジオパーク推進連絡会などの民間協力で実現したものです。


 協力とは言いましても、もちろん団長の平山廉教授のお力による賜物でもあります。


 これまでの調査発掘で、久慈層群玉川層上部の化石密集層=ボーンベッドからは魚類、カメ類、ワニ類、コリストデラ類、長頸竜、翼竜類、竜脚類、獣脚類、鳥盤類、鳥類、哺乳類などなど1400点以上の多様な脊椎動物化石が発見されていて、当時の多様な生態系を示す後期白亜紀日本を代表する化石産地と言えます。今後とも発掘調査が進められ大きな成果が期待されるところです。


 遠藤久慈市長ごあいさつ、左手は臨席聴講の加藤久慈市教育長


 三島化石研究会会長あいさつ(代読:運営委員長石田さん)、右は平山廉教授(着席)~その右は事務局の高桑さん=群馬県立自然史博物館主幹

 公開例会スケジュールを説明する平山廉教授(早稲田大学国際教養学部)

講演1 「上部白亜系久慈層群のシーケンス層序と堆積史」~三塚俊輔さん(日本工営株式会社)

講演2 「久慈層群玉川層のボーンベッドのU-Pb年代分析」~鵜野 光さん(早稲田大学)他

講演3 「後期白亜紀久慈層群の植物化石から見た古植生及び古環境」~ジュリアン・ルグランさん(中央大学理工学部助教)他

白亜紀後期(約1億50万年~6600万年前)日本列島はユーラシア大陸東縁の一部、浅海~汽水域あるいは蛇行河川の扇状湿地帯で、シダ植物・毬果植物主体から被子植物主体への植生変遷が見られる。

講演4 「上部白亜系久慈層群の無脊椎動物化石層と浅海古生態系」~安藤寿男さん(茨城大学理学部地球科学系教授)

👆久慈層群・種市層群(洋野町)・沢廻層(岩泉町)産出のアンモナイト、イノセラムス、マガキ類・コンボウガキなどの化石相と当時の古生態系について。


👇講演5 平山廉教授

講演6 👆「久慈層群玉川層より産出した板鰓類ばんさいるい化石群」~宮田真也さん(城西大学・大石化石ギャラリー)

講演7👇「久慈層群玉川層のカメ化石」~平山廉さん(早稲田大学)👆カメ類化石取上げ中~本年8月

👆久慈層群ボーンベッド発見の脊椎動物化石中でカメ類が最も点数が多く~1,400点中なんと554点!

講演8 「久慈のコリストデラ類の重要性」~松本涼子さん(神奈川県立生命の星・地球博物館)

👆謎の淡水生爬虫類「コリストデラ類」~白亜紀後期アジア初の発見、空白を埋める重要な発見。

講演9 「久慈層群玉川層のワニ類」~伊藤 愛さん(東京大学総合研究博物館)

 👆白亜紀後期の正鰐類ワニ類、アジア初報告の可能性!ワニ類進化検証の貴重な資料です。

講演10 「上部白亜系久慈層群玉川層における恐竜類化石」~黒須球子さん(中国地質大学地球科学・資源学院博士課程)

👆久慈層群玉川層発見の恐竜類概括および熱河、コラートなど東アジア·東南アジア諸地域との比較について報告されました。

👆総合討論~小学生からの質問もあるなど熱心な討議が交わされていました。(o^―^o)ニコ

 👆ポスター発表「単色放射光CTによる化石の高精細三次元観察」~馬場理香さん(㈱日立製作所中央研究所)他(九州シンクロトン光研究センター)

 従来型CT比較で1000倍以上高感度な性能を示すもので、今後は位相コントラスト法などにより微化石や琥珀内の虫などにも適用を検討。