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カズのコトバ|抜かれたら、また僕が抜きます。

2015.11.13 17:35

日本サッカー界のレジェンドといえば、過半数がこの人の名前を挙げるんじゃないだろうか。説明の必要がないとはまさにこのことなんだろうな、というくらい。ということで、一昨日48才にしてJ2の横浜FCと契約延長をした、三浦知良こと「カズ」のコトバを。

引用元:web.gekisaka.jp / ©Getty Images


ボクが小学校の高学年の頃、Jリーグが開幕した。日本で初めての、サッカーのプロリーグ。この頃を境に、少年野球をやっている子供より少年サッカークラブに入っている子供の方が多くなり始め、小学校時代に野球をやっていたボウズの少年も、中学校に入ったら急にサッカー部に入って髪を伸ばし始めたのをよく覚えている。

それくらいJリーグのインパクトっていうのは大きかったんだと思う。そしてその中心にいたのが、カズだ。


カズが所属していたヴェルディ川崎(当時)はJリーグの初代王者に輝き、その後もラモス、ビスマルク、柱谷、武田、北澤、都並、ぺレイラらとともに黄金時代を築いた。ボクは埼玉出身だったから浦和レッズを応援していたのだけれど、当時のレッズは最下位の常連で、常に上位にいるヴェルディの強さに憧れていた気がする。


カズは、とにかくカッコよかった。「華がある」とはまさにこのことなんだと思った。
カズダンスとか、ファッションとか、部分部分をピックアップすることもできるけれど、とにかく「カズ」という存在がカッコよかった。スターというか、カリスマというか。プレー以上にその存在が、他の選手と一線を画していた。


そのカズが48才となった今もまだ現役のプロ選手としてチームと契約し、さらにそれを更新した。その会見でカズが持つ日本代表での通算得点記録に岡崎が迫っていることについて聞かれた際、彼はこう答えた。




抜かれたら、また僕が抜きます。




最年長ゴール記録の話じゃない、通算ゴール記録の話ですらない。「日本代表」でのゴール記録の話だ。つまりまだカズは、「日本代表」に入ることだって諦めていないんだ。



プロである以上、高みを目指し続ける


カズはカリスマだった。憧れだった。でも今は、それ以上に一人のプロフェッショナルとして心から尊敬している。プロフェッショナルのあるべき姿を背中で示し続けてくれる、ボクの中ではイチローと並ぶ存在だ。

カズが言ったのでなければ、もしかしたら冗談だと受け止めたかもしれない。あるいはカズ自身も、冗談と受け止められることを覚悟の上で言ったのかもしれない。でも、他でもないカズだからこそ、本気でそう思っているんだろうなというのが伝わってくる。


プロである以上、高みを目指し続ける。プロである以上、自分が何歳であろうと「負けず嫌い」を貫く。たぶんカズは、48才になった今なお、成長している部分を感じているんじゃないかと思うし、今なお自分に満足はしていないんだと思う。

そしてそんなカズだからこそ、多くの人が憧れる存在なのだと思う。



自分で自分にピリオドを打たない生き方


プロのスポーツ選手というのは、契約してくれるチームがあって初めてプロでいられるもの。だからカズは、自分を必要としてくれるチームがある以上は引退しないんじゃないかと思う。そして上記の通り、プロでいられる以上は高みを目指し続けるんだと思う。


以前にも書いたことがあるけれど、ボクは目標を設定して、そこから逆算して考える生き方ではなくて、昨日の自分に負けないように、少しでも前に、自分が思い描く理想に近づけるように努力を続ける生き方が性に合っていると思っている。

でもこの生き方の難点(?)は、自分が成長すれば、同時かそれ以上のスピードで理想も成長してしまうこと。つまり終わりがないんだ。

目標から逆算していく生き方は、それはそれで素晴らしいと思うのだけれど、目標を達成した際に、次の目標を掲げることに結構なエネルギーを費やすんじゃないかと思っている。少なくとも本質的には怠け者であるボクは、目標を達成したら、しばらくはそれで満足してしまう気がする。そしてそのエネルギーがなくなる年齢になったら、自分で自分にピリオドを打ってしまう気がする。


なんとなくだけど、「今」のカズは、日本代表に復帰するという目標は持っているとしても、自分のゴールを設定し、そこから逆算して考えるような生き方をしていない気がする。そしてそれは、「引退」というひとつのピリオドを、自分では打たない生き方なんじゃないかと思う。


ボクも会社からお金をもらって仕事をさせてもらっている以上、プロであるべきだと思っているし、プロでありたいと思っている。そして、ボクの生き方は、今のカズに近い生き方なんじゃないかと、勝手に思っている。


カズはすごい。そんなことはわかっている。どれだけボクが努力しても、カズのようなカリスマにはなれないだろうと思う。でもせっかく同じ時代を生きて、その背中から学ばせてもらっているのだから、せめて同じくらい努力をすることはできるはず。


何歳になろうと、何番目になろうと、果てない高みに向かって、ただ足を前に踏み出し続ける生き方。これはこれで楽ではないけれど、カズのような先人がいてくれるからこそ、ボクもうぬぼれることなく、諦めることなく、今日も足を一歩前に出していけるんだろう。



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