利権だらけ
原油価格をネガティブシナリオでカウントするならば、5-3ということなのか、下落はまだ止まらない。ダメ押し的なダブルボトムをつける動きをポジティブカウントとすれば、40ドル割れ以下は押し目買いという評価を与えて良さそうだが・・・
実際原油価格程わかりやすいものはないんですよ。
簡単な歴史を。
まず、原油を独占的に占めたのがロックフェラー。これが、1860年年頃。そして、モノを動かす動力源として絶対的に原油が必要となった自動車の発明が1880年頃、1900年頃に飛行機。
これらの普及に合わせて、原油がエネルギーの主流を占めるようになり、それを決定づけたのがWW1。結局、これがなければ戦いにならないことを各国の首脳は知ることになるわけ。
もちろん、ロックフェラーは原油の必要性を知っていて、対峙する双方の国に原油を売りつけてボロ儲けして今の地位を確保しているわけで。陰謀論でもなんでもなくてビジネスの一貫だね。
戦争が儲けるというのは、莫大なエネルギー消費を伴うからだね。
WW2でしこたま儲けたけど、あまりに儲け過ぎだろうって世論がうるさくなって、次第にロックフェラーは表に出なくなる。そして、力をつけてきたのがOPECと呼ばれる中東中心の組織。これらが、価格決定権をもったんだけど、調子に乗った彼らは1970年代に石油ショックを引き起こして原油価格を引き上げた。まぁ、この無茶ぶり政策は世界中から非難轟々で先進国などが中心となってIEAというのを立ち上げるわけだ。IEA加盟国は、輸入する原油の一部(60日間原油供給がストップしてもやりくりできるよう)を備蓄するよう求められた。そして、石油ショックなどのような一部の国の都合で原油価格が引き上がるのに対して、備蓄した原油を放出することで原油価格を適正価格に押し下げるよう調整するんですね。1990年の9月にIEAは湾岸戦争による原油急騰の火消しとして放出を行ったりね。
あとは、ハリケーン・カトリーナによって原油製油所がイカレて価格急騰したときの火消し、カダフィ時代のリビア混乱期の原油急騰に対してもIEAは動きました。
結局、原油っていうのは価格調整圧力がすごくかかりやすい商品なんですよ。金とはまた違って。
1985年にサウジはOPECの中で方向転換を図って、米国と手を組むことが多くなったね。宗教上の都合で。
スンニ派とシーア派の違いだね。1986年当時はイラク(フセイン政権)が力を持ちだして、そのバックに付いていた旧ソ連の弱体化を狙うために原油の引き下げ圧力をしました。
今、2014年、15年のサウジはシリアに資金提供するロシアの弱体化を狙う形で原油の引き下げを狙ったというわけだね。(最近は、米国・サウジともにロシアに対する圧力を緩和させてる感じだけど・・・。)
さて、大人しくなったロックフェラーは結構な保守的な存在で米国では共和党支持と見られている。(ネルソン・ロックフェラー)もしくは共和党で2度大統領を輩出したブッシュ家もテキサス州というWTIの大元。
だから、共和党が政権を握っているときはどちらかと言えば原油にプラスになるよう政策運営されるわけ。儲けの基盤であり、潤えば潤うだけバックも大きくなる。バックが大きくなるように議員も動くという流れ。
特に2001年のブッシュ政権なんて酷い。きっかけはどれも、【戦略備蓄石油の上積み】を議会に要請することから始まる。
2001年11月、そして2007年1月30日の一般教書演説とそこから爆発的に上げた。背景としては、中国がWTOに加盟したことや新興国を中心にエネルギーの爆食が始まったこと。それに合わせてHFやMMが綺麗に高値を狙ったのでしょう。
対する民主党は代替エネルギー派路線なわけです。原油ではない分野でのエネルギー拡大を狙うんですね。太陽光や風力なんかはその最たるもんやね。ビルクリントン大統領は『ミリオン・ソーラー・ルーフ計画』を打ちだし、米国民に対して2010年までに家庭やオフィスに100万台のソーラー・システムの設置を呼びかけたし、奥さんのヒラリークリントンは地球温暖化対策を発表し、太陽光発電のパネルを2020年までに5億枚設置することや再生可能エネルギーに対する税制上の優遇措置などを柱にしている。そもそも、1997年の京都議定書なんかはクリントン大統領の時に締結されて、ブッシュ大統領が政権を取った2001年には京都議定書から離脱を発表するといった感じで常に対立するんですよ、エネルギー関係は。
太陽光は今後も主要なエネルギー産業として20~30年後の社会を支えているでしょう。屋根に付けるデカイパネル?ではなく、塗料系でしょうね。また代替エネルギーとして、バイオマスも注目。もともとは、1999年のクリントン大統領は大統領令13134号「バイオ製品・バイオエネルギーの発展と促進」を発令がきっかけ。
要するに、ことエネルギーに関しては政党の違いで方向性がガラリと変わるわけです。
米国政府は再度、戦略備蓄原油の放出を匂わせている。財源確保のため。財源確保のための戦略備蓄原油の売却はこれで2000年のクリントン政権時と合わせて2度目。
ま、財源確保なんてただの大義名分で単純に原油の引き下げを狙ったアナウンスでしょ。金額規模は小さいんだけど、政府の方向性を示せばその方向に合わせてトレンドを作ればいいわけで。
米国政府が売却を示唆すればほぼ下がっているからね。気をつけましょう。
今回の6000万バレル放出も財源確保のための放出であるものの、その開始時期が2017年後半から2018年にかけて、しかも8年かけて・・・
お前ら今の政権終わってんじゃねーかよ。
民主党政権にとっては、原油が高いのは迷惑ですよね。だって、原油が上昇して基盤が強くなって、政治献金額が増えれば共和党勢力が強くなってしまう。なので、個人的には大統領選までそこまで強い原油の伸びはないよね?と。