「成功報酬型」薬が日本にやってくる?
医薬品世界2位の製薬会社ノバルティスが薬が効いた患者にだけ支払いを求める「成功報酬型」薬の販売ができるように日本政府に働きかけるようです。
そこでこの話題と本日は薬価制度についてみていきたいと思います。
実例
既にノバルティスはアメリカで成功報酬型の仕組みを採用しています。
採用されたものの1つに小児・若年者の急性リンパ性白血病の新薬「キムリア」があります。
キムリアは遺伝子操作を加えたヒト免疫細胞(CAR-T)を使う世界初の薬で、治療一回あたり約5300万円かかります。
この薬で成功報酬型が採用されたポイントとして大きいのは、治療が一回で済む点でしょう。
ちなみに患者の8割が治療に成功したようです。
そもそも薬の値段ってどう決まるの?
病院で処方される処方薬の薬価は厚生労働省によって一律で定められています。
基本的には過去の類似薬の薬価が基準で決まり、今までになかった画期的な新薬に関しては値段が高くなります。
ここでは細かい算定方式は割愛しますが興味ある方は以下を参照してください。
(参照:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000027ha4-att/2r98520000027p4k.pdf)
処方薬の支払いは保険料で一部国が負担しています。
ちなみにジェネリック医薬品を勧められるのは、安値の薬を購入してもらい国の負担を減らす目的があるからです。
求められる保険制度の変化
近年、研究開発が進み高額薬がしばしば登場しています。
ここで問題となるのは、国の保険料でどこまで負担するのかです。
いま高額薬の販売と医療保険制度の両立を目指した議論が進んでいます。
先がけとなったのは小野薬品工業のがん免疫薬「オプジーボ」です。
オプジーボは年間約3500万円かかる薬価がつきました。
しかし保険財政を揺るがす可能性があるため、17年始めに薬価が半額に引き下げられました。
このことがきっかけで、薬価制度の見直しを求める議論が巻き起こりました。
ノバルティスの提起による影響
ノバルティスの働きかけは薬価制度に一石を投じる可能性があります。
厚生労働省はこの件をきっかけに、費用対効果をもとに薬価を決める制度の導入の議論を始めました。
日本の製薬業界もノバルティスの提案に対して柔軟な姿勢を見せています。
これから
遺伝子検査技術はますます進化しています。
またAIの発展も膨大なデータをもとに行う創薬に大きく貢献するでしょう。
このことからますます新薬の登場が多くなってくると予想されるため、高額医薬品も増えてくるでしょう。
日本の経済力を世界に負けないものに押し上げるためには、技術革新のスピードに負けない制度づくりが必須です。
衆議院選挙の真っ最中ですが、各党のエゴだけではない先を見た政策の提案が見たいものです。