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花は一筋に咲く

2023.04.20 06:29

http://yamasakuran.seesaa.net/article/32669155.html 【ロゼット葉図鑑】より

タンポポの葉のように同心円を描いてピッチリと地面に張り付き、省エネで冬をやり過ごす植物の冬越えの姿を、薔薇の花の形に似ていることからロゼット(私は「ロゼッタ」と呼んで来ましたが、「ロゼット」と言うほうが一般的のようですので、以後「ロゼット葉」と呼びます。)

 私はこのキリリと無駄の無い美しさにとても魅かれます。この冬は外に出る度にロゼット葉を探し写真を集めました。しかし、急速な春の陽気にロゼットも目覚め、形が崩れ始めたので、ここで一旦纏めておくことにします。 名前の分からない物は、この先成長した時点で確かめて記入したいと思います。お分かりの方は、ご教示願えると大変嬉しく存じます。

(以下略)


aribaba@1819aribaba

花は一瞬にして咲くのではない。 大地から芽から出て葉をつくり、葉を繁らせ、成長して、つぼみをつくり花を咲かせ、実をつくっていく。

花は一瞬にして咲くのではない。花は一筋に咲くのだ。 坂村真民

http://seikenji-nakanojo.com/?p=43 【いのちは長し あさ顔の花】より

あさ顔が開花する季節となりました。江戸時代、大名から庶民にいたるまで愛され、その栽培に熱心になりすぎて家計が傾く江戸っ子もいたということです。

明治時代になって人気を博した「団十郎朝顔」は歌舞伎役者市川団十郎の十八番「暫」において、団十郎が着ていた柿色の素襖に着想を得て作られたものだそうです。この花はとても人気があって簡単には手に入らなかったのでしょうか、正岡子規は「咲いて見れば団十郎でなかりけり」と句にしています。せっかく買ったあさ顔の苗を育ててみたら望んでいた花ではなかったという人がたくさんいたことでしょう。

さて、明治政府の神仏分離政策による混乱期、仏教復興に尽力された福田行誡上人(知恩院76世・増上寺70世)はあさ顔について次のように歌っています。

「露のまも またぬいのちにくらぶれば なかなか長し あさ顔の花」

あさ顔の花が開いたかと思えば昼過ぎには萎んでしまう。そんな儚い命のあさ顔の花でさえ、蓮の葉の上をスルリとすべり落ちる「あさ露」に比べれば、なかなか長い命に思えるものだなあというのである。

福田行誡上人が儚い命に喩えられた「あさ露」については、法然上人のお歌を受けてのものと考えてよいでしょう。

「露の身は ここかしこにて消えぬとも 心は同じ華のうてなぞ」(法然上人御歌)

早朝蓮の葉の上に生まれた「あさ露」はそれぞれ葉の上をすべり落ちては消えてゆく。人の命もその「あさ露」と同じようにいつかは別れるときが来るのである。極楽浄土の蓮台上で再会しましょうという意味です。

人の命をあさ顔の花に喩えたら半日の命。一瞬で消え去る「あさ露」に比べたら少し長いのがありがたい。今のうちに少しずつ善行を積めたら素晴らしいですね。まずは自分のことばかり考えず、人の幸せを願って尽くそうとする心(菩提心)を大切にしていきたいものです。

美しく咲くあさ顔の花がたくさんの人々を楽しませてきたように・・・。

http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kokufu/koutei/hasuyom.html  【蓮ハス四方山よもやま】より

ハスの花

 「ひーらいた ひらいた 何の 花が ひーらいた レンゲの 花が ひらいた ひらいたと思ったら いつのまにか つぼんだ」という歌のように,ハスの花は早朝開いて昼にはつぼみ,その繰り返しが3日,4日目には花弁も雄しべも落ち,花托(右下の写真)だけに。その後,花托も熟し果托かたくと呼ばれるようになる。

1日目:ほんの少し(3cmほど)徳利型に開くだけで,9時頃には閉じる。

2日前:大きくおわん型に開き,昼ごろに閉じる。最も美しいのは2日目か。

3日目:昼前には完全に開ききって,色も薄くなる。午後に閉じるが半開きの状態も。

4日目:朝方完全に開ききって,午前中に花びらが落ち始め,午後には花托だけに。

第1日目、もっと開き方が小さい場合も。1日目はすぐしぼみます 4日目の午後、花びらが完全に落ちてしまった花托(果托)

浮き葉と立ち葉

 ハスの葉は,水面に浮く「浮き葉」と水面より高く上がる「立ち葉」があり,花は水面より高くそびえて咲きます。スイレン(睡蓮)は浮き葉だけ,花も水面に浮いているか,水面より上がっても低いところに咲きます。ハスの葉は水をはじいて水玉を作りますが,スイレンの葉は水をはじきません。スイレンの葉には切れ込みがあります。

 最初に浮き葉が出て,その後立ち葉が出てきますので,水面に浮かんだ浮き葉が成長して立ち葉となるものと,最初は勘違いしていました。浮き葉と立ち葉は全く別のもの,しかし何故2種類の葉があるのでしょう?光合成の為には立ち葉が有利,雨風には浮き葉が強そうです。それぞれの利点でお互いの欠点を補い合うのでしょうか。

立ち葉が伸びてきたのは5月の連休終り頃 大きな立ち葉で、浮き葉までは直射日光は届かない

ハスとスイレンの違い

 ハス(蓮)はスイレン目ハス科(以前はスイレン科とされていたが,現在はハス科として独立),スイレン(睡蓮)はスイレン目スイレン科,和名をヒツジグサ(羊草)という。ハスの葉は,水面に浮く「浮き葉」と水面より高く上がる「立ち葉」があり,花は水面より高くそびえて咲きます。それに対して,スイレン(右写真)は浮き葉だけで,花も水面に浮いているか,水面より上がっても低いところに咲きます。また,ハスの葉は水をはじいて水玉を作りますが,スイレンは水をはじきません。スイレンの葉には切れ込みがあります。スイレンの葉が水をはじかず切れ込みを持つのは,増水時に水に沈みやすくして茎や根に負担をかけない為です。

レンコンの穴

 葉や茎が枯れてしまうと,水の底のレンコンは空気を取り入れることが難しくなります。空気を蓄えなければ冬を越せなくなります。そこで空気を蓄えるために発達したのがレンコンの穴,レンコンの穴は空気タンクということです。

 このレンコンの穴に「からし味噌」を詰めて油で揚げたのが熊本名物「からしレンコン」です。美味しいですよ!

 ところで,レンコンの穴の数には諸説が。周りに8個,中央に1個で9個とか,周りに9個で中央に1個で10個などです。中央には小さい穴が2個とか3個ある場合も。周りの小さい穴まで入れれば様々。穴の数は一定ではないのでは? 私たちの考え,間違っているかも知れません。ご存知の方,お教えいただければ助かります。 

「ハスの花」に関する言葉

泥中之蓮でいちゅうのはす

悪い環境に染まらず清く生きることのたとえ。泥の中でも清らかな花を咲かせる蓮のように,周囲の汚れた環境に影響されずに,正しく生きることを言う。出典:古文真宝後集こぶんしんぽうこうしゅう

一蓮托生いちれんたくしょう

死後(浄土で),同じ蓮の上で暮らすこと。転じて,仲間がみな,行動や運命を共にすること。仏教語。仏典にはなく,日本の浄土信仰から生まれた考えとのことです。

ひらいたひらいた♪ 何の花がひらいた レンゲの花がひらいた♪

  ♪ ひらいたと思ったら いつのまにか つぼんだ ♪

「わらべ歌」ですが,この「レンゲの花」は田んぼや野に咲くマメ科のレンゲソウではなく,蓮の花だということ。「ひらいたりつぼんだり」するのですから,まさにハスの花ですね。私はレンゲソウと思っていたというか,どんな花か詮索さえもしていませんでした。

芙蓉ふようの顔かんばせ

中国で「芙蓉ふよう」といえば「蓮」のことで,「芙蓉の顔」とは,蓮の花のように清楚で美しい顔立ちのこと。美しい顔,美人の例え。どんな人なのでしょうか,見てみたい。日本でいう「芙蓉」の花は中国では「木芙蓉もくふよう」と。「顔」を「かんばせ」と読むこと,知りませんでした。

ハスの音(開花音)

開花する時ポンと音を発するの? 「ハスの花が開くとき,ポンと音を立てる」という話,よく聞きます。「開花音を聞けば,悟りが開ける,地獄に堕ちず成仏できる」等の言い伝えがあり,是非聴きたいという願望からの幻聴なのかも知れません。はちきれそうな蕾つぼみの形からの期待感もあるでしょう。音が出ないとは断言できませんが,ポンという程の大きな音は?蛙の声や魚の跳ねる音,露が水面に落ちる音などを聞き違えたのかも。昭和10年7月23日,牧野富太郎や大賀一郎博士たち十数名が東京不忍池で実地検証を試みたが無音説に軍配があがったという。ハスの花は沢山の花弁が重なっているが空気を密閉するほどには密着しておらず,花弁の先から徐々に開くので周囲に聞こえるほどの破裂音が出ることはなさそうです。正岡子規の「蓮開く 音聞く人か 朝まだき」や加賀千代女の「桔梗ききょうの花 咲時ポンと 言そうな」という句など,数多くの詩歌の影響なのでしょうか。しかし,「ポンといって開花する」というほうが夢があり,楽しそうです。皆さん,早朝のハス池で確かめてみませんか!新情報,お待ちします。

ハスの花は温度調節をする

開花時の外気温と花の中の温度を測ってみると 一般に,植物の体温は外気温の変化とともに変動するものですが,驚くべきことに,ハスは開花するとき,自ら発熱して花の体温を上げたり,暑い時は水分を蒸発させて,体温を保っているとのこと。外気温が10~40度と変動しても花の温度は30~36度に保たれます。気温変化にかかわらず花の温度を一定の範囲内に保つような温度調節機能を備えているのです。まさに恒温動物並みに進化しているのです。理由は分からないようですが,花粉を運ぶ昆虫たちに暖かい環境を提供する為とか,ハスの花自身の繁殖器官等の正常な発育の為と考えられています。自ら発熱して開花する花は珍しいのですが,ハス以外にもサトイモ科やヤシ科にもあるそうです。植物学者三宅驥一はハスの花の中に温度計を入れて,気温25度のときに花の中の温度が35度もあったことを明治31年に「植物学雑誌」で発表しています。(オーストラリア・アデレード大学のR.C.セイモア准教授の研究,参考図書:三浦功大著「蓮への招待」西田書店発行)