『Generation Mars』(ノルウェー)
あらすじ
アストリッドは、"Generation Mars"の乗組員の座を勝ち取ったメンバーの一人である。そのリアリティー番組は人類をはじめて火星に送るのだが、彼女らは二度と戻ってくることはない。ある一つのことを除き、彼女の出発に向けすべての準備は整えられている。アストリッドは、愛するすべての人に別れを告げなければならないのだった。
実行委員による審査講評
”名に冠された夢ときらびやかさ、その見せかけ”
物語の題材として選ばれた火星コロニー計画は、SF作品としての豊かな潜在性を有している。宇宙空間での大スペクタクル、それは誰もが好む反面、容易に考え及ぶものだろう。だが本作が着目するのは出発前の社会と人物、すなわち家族への愛憎に思い悩み、現実の歪みに目を伏せる主人公の心情描写なのである。それゆえに、新天地へと「飛び立つ」この人間ドラマは普遍性をも獲得するのだ。
監督について
Alexander Turpin
1989年生まれ。主として政治、私生活に焦点を当てた短編映画を低予算下で監督制作する。リレハンメルのThe National Film School of Norwayにて映画監督コースを卒業。
コメント
『Generation Mars』は、実在するリアリティー番組であるMars Oneから着想を得た作品です。2014年に初めてMars Oneについて知ったとき、この番組は、一般人を訓練して火星への片道旅行へ送るという挑戦的な内容で注目を集めていました。
この作品は宇宙旅行という壮大な物語上の枠組みにおいて、われわれが名声を得ることにとりつかれ、承認欲求に当惑している姿を探ろうと試みています。
影響を受けた監督や作品
『Generation Mars』を撮る際に主として参考となった映画はポール・トーマス・アンダーソン『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』とクリストファー・ノーラン『インターステラー』です。
作品情報
実写部門
ノルウェー/2016年/25min
The Norwegian Film School
スタッフ:<監督>Alexander Turpin
<プロデューサー> Elisa Fernanda Pirir
<脚本>Jørgen Færøy Flasnes
<撮影監督>Mattias Pollak
<プロダクションデザイナー> Marius Winje Brustad
<音楽>Bror Kristiansen
<編集> Herman M. L. Paulsen
キャスト: Inga Ibsdotter Lilleaas、Samantha Lawson、Bernt Bjørn、Ingjerd Egeberg