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明倫AIR2017

打吹山

2017.10.15 16:47

中村です。

最近、空いている時間は長谷寺や打吹山に行っています。打吹山は、標高204m。小さな山なので、気軽に一人で登ることができます。

今日は、倉吉博物館の催し「秋の植物観察会」があったので、久保田さんと一緒に参加してきました。北海道には無い植物ばかりなので、初めて見聞きする植物の話ばかりで興味津々でした。小雨だったのですが、木々の中では多少の雨も問題なし。しっとりと光る常緑樹に目が奪われました。

いわくらラボ第二回目のトークでお呼びした真田さんのお話によると、まだ打吹城が山の上にあった1683(天和3)年に、町人は打吹山(倉吉城山)に入ってはならないという御法度が出されたそうです。江戸時代初期に打吹城が廃城となったあとも、立派な森が残っていました。そのため明治時代には倉吉町長の松本氏が打吹山の自然を残そうと、自然保護運動を行い、木々の伐採を人々に思いとどまらせた。そういう訳で、約300年間かけて、現在のような森が形作られているのだということです。

今では、打吹山は「三朝東郷湖県立公園」の中に位置付けられ、自然公園法、都市公園法、倉吉市都市公園条例で管理されています。


打吹山の森は、スダジイ、タブノキ、シラカシなどが優占する照葉樹の極相林(きょくそうりん:英語で言うと、クライマックス・フォレスト climax forest)を形成しています。眞田さんによれば、打吹城築城の際に、山は一度すっかり切られているのではないかと言うことでした。それが再び極相化しているというのも面白いです。で、こういう木々の日陰が大好きなのがヤブツバキ。私は7年前の滞在中、この打吹山で野生のツバキを生まれて初めて見て、思いがけず、びっくりしたのを覚えています。青森がツバキの北限で、北海道では自生していないのです。

極相林というのは、人間の手では決して作れるものではありません。自然の土壌や木々が何百年もかけて自分たち自身で作り上げていくことでしか出来上がらない、貴重な森です。

また、照葉樹林は関東の平野部から西日本にかけて広く分布していた森林の姿だったそうなのですが、国内の森林面積比で見ると1%を切っていて、ほぼ全滅状態であると言われています。


ここ数年、北海道では極相林を探して時間があればあちこち出歩いでリサーチをしていました。数年前まで太平洋側をずっと見ていたのですが、今年は日本海側を重点的に見ています。鳥取だと大山だとか、青森側の白神山地、北海道の利尻・礼文島なんかにも行きました。そこでは、打吹山のようにカシやシイが優占する照葉樹林ではなく、アカエゾマツやトドマツが代表の針葉樹林、ブナやミズナラが代表する落葉樹林を見てきました。

身近にこんなに貴重な自然があるのは、値打ちのつけられない価値じゃないかと思います。

頂上に何本か集中しているアサダは、樹齢500年ほど経っているらしいです。ガイドさん曰く、これは人の手で植えられたものだそうです。

頂上まで行くと、しほっつぁんこと四王寺山の裾野の向こうに日本海が見えます。


中村