首と肩
肩関節の異常は様々な器官と関係しているというのはわかってもらえたと思います。
四十肩、五十肩というのは、年齢をいうのではなく、四十箇所の異常と関係があるとか五十箇所の異常が関係あるという意味です。
60歳でなっても80歳でなっても六十肩、八十肩とは言いませんよね。
バランスをとるという意味では大きな影響のある肩ですが、肩が固まってしまうと当然首にも影響がでます。
なぜなら肩はアンバランスがあると初動で影響が出る部分です。
しかし肩や肋骨とつながっている首も少なからず影響がでる訳です。
もし、呼吸と関係する咽頭筋などの細かい筋肉が風邪でやられたりしていると、その影響は顕著にでます。
風邪から肩にくるのか、肩から風邪に以降するのか区別がつかなくなります。
特に首の外側の筋肉(側頸部)がやられます。
これは前後は初期段階で左右は最後の砦と言えるバランスです。
だから腰痛でも前後した時の痛みというのは比較的とれやすい傾向があります。
肩関節が異常を起こしても側面と関連する痛みは治りにくくなります。
海で言えば水穀海(左)と髄海(右)です。(以前の記事を参考にしてください)
基本的に左右の揺れは捻れを含んでいるので真っ直ぐ横に揺れる訳ではありません。
この方もこれらの筋肉プラス咽頭筋がやられてました。
当然ですが、咽頭部にも強い圧痛がありました。
また呼吸と関係の深い咀嚼筋(噛む時に使う筋肉)にも咬筋や側頭筋にも影響はでます。
それと面白いのは表情筋にも影響がでます。
これらの筋肉が連動して緊張することで肩の痛みという症状になる訳です。
如何でしたか?
肩関節の異常が治りにくい理由がご理解頂けたのではないかと思います。
それをどう治していくのか?
それには順序があります。
なにを最初に治して次に何を治すのかを明確にしながら地道にやっていくことです。
特に五十肩が急激に自然治癒することがないのはあきらかです。
石灰沈着している訳ですから五十肩が一瞬で治ったという触れ込みをするのは本当の五十肩ではないと言っているようなものです。
またそんなことを治療家はしてはいけません。
自然治癒には限界があります。
それを知っていなくてはなりません。
基本は動かすことですが、無理に動かしたら痛いだけです。
そのあとズキズキする痛みに襲われて意気消沈します。
固まった腱が再度炎症を起こしたりしますからね。
ズキズキして意気消沈してしまうと精神がやられ余計に動かなくなってしまいます。
過剰な保護は絶対に禁物ですが、過剰運動も禁物です。
だから難しい訳ですね。
無理をせず一つ一つの動きを大切にしていくことが大事です。
肩関節は人体最大の可動域を持った関節です。
自由度が高いということは、様々なアンバランスを吸収しやすいということです。
長年の感情から起こった痛みは本人のためにも急激に治ってはいけません。
じっくり味わいながら治すことが何よりも重要です。
ゆっくり慎重に動かしながら注意深く異常反応を一つ一つとっていく。
それによって心も緩まり自然治癒することができます。
ホントに人間の身体は不思議です。
心と身体は直結しているということを実感できる疾患です。