不在の部屋
2015.12.01 23:53
戦後の日本そのものの縮図。
今、読むべき本だった。
今、読んでよかった。
『50年代の地方都市で、カトリック系の女子校は、戦前の公立女学校にとってかわってお嬢さま学校となり、戦後教育を受ける少女たちは、西洋文化の具象を、西洋人の修道女に見て、憧れます。やがて高度成長の中、洋式化は進み、生ハムや手作りのチョコレートといった贅沢品が地方でも手に入るようになり、海外旅行も普通のこととなる一方、「平等」のはきちがいが始まり、義務は忘れ去られ、権利の要求のみが声高に叫ばれるようになります。
1970年代、修道女たちが神を見失ったように、一般の日本人もまた、合理性と快適のみを追い求めるあまりに、なにかを見失いつつあったのです。』
腑に、落ちた。