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WUNDERKAMMER

白蛇

2017.10.20 08:26

ばあちゃんから聞いた話と後日談。

ばあちゃんは中学生の時、ガキどもに虐められていた小さい白蛇を助けたことがあるらしい。

その蛇が神様かなにかだったのかは不明だが、それからというものばあちゃんは命に関わる事故や事件を何度も回避してきた。

例えば、俺が知ってる中で衝撃的だったのが日航機墜落事故の時、係員の勘違いで足止めをくらったためばあちゃんは事故機に乗らずに済み、事故回避できたこと。

この話をするとき、ばあちゃんは決まって最後にこんなことを言っていた。

「最初こそ白蛇のご利益かもしれないと思うと

ありがたかったんだよ。

でもね、年を取るにつれて段々と恐ろしくなってきちゃった」

俺がどうして恐ろしいのか聞いても、ばあちゃんは何も答えてくれなかった。

そんなばあちゃんが半年前に亡くなった。

遺品整理を手伝っていた時、俺はばあちゃんの日記を数冊発見しこっそり持ち帰った。

何でそんなことをしたのかは自分でも分からない。何かに突き動かされるようにそうしていたとしか表現できない。

日記は数年前から書きはじめられたもので、日々の些細な出来事から俺が大学に入れて涙が出るほど嬉しかったこと、でも会う機会が少なくなるから寂しいことなどが綴られていた。

でも、亡くなる一年ほど前から日記の内容が激変した。

毎日毎日、大きな白蛇が夢にやって来る。

白蛇は必要以上の加護をやったのだから、死んだ後は白蛇のもとに行かなければならないと言う。

死ぬのが怖い。

そんなことが毎日長々と綴られていた。

ばあちゃんは死後、きちんと天国に行けたのだろうか。それとも白蛇のところにいるのだろうか。

せめてお盆には魂が家に帰ってこれる状態であってほしいと思う。