カーゼ・バッセを試飲して
昨日カーゼバッセの2007,2008,2009,2011,2012年を
試飲してきました。
2010年はあの事件のためにほとんど蔵に在庫がなく市場に出来ることは
ありませんでしたが、とにかく在庫がほとんどやられてしまっただけに貴重な
存在となってしまいました。
収穫した葡萄の70%以上が使われないためにカーゼ・バッセのワインは
ピュアーそのものです。
2001年前後に近く新設された蔵に移り更にピュアー度を増したのですが、
以前の迫力のある姿はなくなってしまいました。
しかしこの傾向はヨーロッパ全土に言えることで、どうしてこのような流れになったのか
本当のところはわかりません。
原因として考えられるのは、気候変動、健康志向による食の変化が及ぼした影響、
醸造技術の進化、栽培方法の進化、などなど全てが影響した結果が今のワイン
なのでしょう。
私たちがワインに深入りする結果となった印象的なワインの姿は今のワインには
ほとんどありません。しかしプアゾンを代表とする強烈な香水、こてこてのフレンチ、
コースを食べると喉のところまでまんぷくになるような異常な量、そんな世界は
今は全くありません。そしてワインも変わったのです。
そしてカーゼ・バッセのワインにもその傾向が見られるのです。
ポテンシャルが高くピュアーな様子はこれ以上ないだろうと思わせる姿を見せてくれます。
しかしだからといってワイン自体がそこまで魅力的かと言えばちょっとした疑問も生まれてくるのです。
どちらかと言えば、カーゼバッセの哲学を味わっているような感じです。
つまりこういったワインは味わいの魅力だけを楽しむものではないと言うことです。
そこが飲み手を選ぶところでもあるのです。
長い間デフレだった日本は海外のインフレでワインの価格が上がっているのに、
ただ値上がりしているという感覚しかありませんでした。もし日本も同じように
インフレだったら今のカーゼバッセの価格も決して高いものではなかったはずです。
こんな状況で逆に日本では安いワインの発掘が進み、ワインの状態を完璧にすることで
ラシーヌが新たなるリーズナブル系の世界を作り上げました。
そしてラフィネは南アフリカからコスパの高いワインを輸入したのです。
しかし高価なワインは更に値上がりし、一部の人以外手を出せない価格帯まで
値上がりしてしまったのです。
さてこんな状況でカーゼ・バッセの価値をどのように評価するのか?