Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

薔薇の小部屋

ラ・フォンテーヌ寓話

2022.01.16 07:30

イラストの可愛らしさに惹かれて手に取った「ラ・フォンテーヌ寓話」(ラ・フォンテーヌ著 ブーテ・ド・モンヴェル画 大澤千加訳 ロクリン社)




今日でも知られている寓話26篇が収められています。

帯によると、ルイ14世の王子に捧げられた寓話集。


翻訳の小澤千加さんによるあとがきに、ヴォー・ル・ヴィコント城の土産物売り場で見つけたとありました。

ヴォー・ル・ヴィコント城というと、ルイ14世の大蔵卿を務めたニコラ・フーケの城。フーケはラ・フォンテーヌをはじめとした文学者や芸術家を擁護し、美術の蒐集家としても際立った感性の持ち主でした。ヴォー・ル・ヴィコント城はフーケが贅を尽くして建設した城です。

しかし、その権力と財力でルイ14世の不興を買い、華麗なヴォー・ル・ヴィコント城のお披露目から僅か3週間後に失脚しました。

城の建設に関わったルイ・ル・ヴォー、アンドレ・ル・ノートル、シャルル・ルブランは、後にヴェルサイユ宮殿の建設に関わることになります。


私がフーケを知ったのは、アレクサンドル・デュマの「ダルタニャン物語」(鈴木力衛訳 講談社 全11巻)でした。あまりの面白さに、最後まで一気に読み終えた作品。

一時、絶版になっていましたが、復刊ドットコムで新装版が出たようです。


「ダルタニャン物語」にも描かれているように、フーケはダルタニャンに逮捕されます。


フーケの失脚は"驕れるものは久しからず“とも思えますが、ルイ14世の王子に捧げられた「ラ・フォンテーヌ寓話」ここに描かれた"常に強いものの理屈がまかり通る“、"自分より小者の力が必要なこともある“などの教えを、王はどのように考えたのでしょう。