得られないなら願いたくないほどの願い【僕らふたりの物語11】
僕とパートナーのけいこちゃんが、大変な道のりを超えて今のような関係にいたる物語。
その10です。
その7 問「どうしたら、ずっと二人で愛し合える関係を築けたのか。」
その8 分かれ道「自分のヴィジョンを生きないものは、死んでいるも同然だ。」
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僕らは、真実を問い続け、分かち合う関係を築き始めていました。
そうやって対話していく中で、僕はより深い部分の声を取り出して表現することができるようになっていきました。その一つが、「ほんとうは暖かい家庭を築きたかった」というもの。
僕は実は、深く愛し合う人との間に娘が生まれるイメージをずっと持っていました。が、そんな人生はありえない、と諦めきってきた。ヘタに希望を持って、それが得られない痛みを味わうくらいなら、そんなものは見ないほうがいい。そう無自覚に思っていた。
しかし彼女と語り合ううちに、変化が生じました。そこに向き合うだけの支えをもらったのでした。
そして僕は、そんなパートナーと、そんな娘を持って暖かい家庭を築いて生きたい。そう叫んでいる部分が僕の中にあったこと認めました。
パートナーとこんなに理解し合うことが可能なのだとしたら、それを望んでもいいと思えたのでした。
いや、むしろもう、絶対に手放したくない。これまでを取り返すためにも、すぐにでも始めたい。そんな叫びが僕の中にあった。
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とはいえ、当時、僕にはそれが得られる保証もありませんでした。
むしろそんな理想からはとっても遠い状況にありました。
東京と札幌だったから年に何度も会えないし、彼女は何も約束はしなかった。「かならずふたこさんと一緒になるから、信じて待っていて」と言ったことはありません。
そんなわけで僕は、それでも待つのか、それとも僕の求める家庭を築ける人を別に探す必要があるのだろうか、という問いを、このあと何年も抱えることになります。(今でも家庭は築けてないけど・・・。)
もちろんけいこちゃんを愛していたし、年間の350日くらいはけいこちゃんとこそ、その先の未来を生きたいと思っていました。
でも何度も不安になりました。
そして、何度か、その思いをはっきり伝えたことがあります。
それは僕にとっても、彼女を失うリスクをとっての行動でした。
たとえば
「こんな状態がずっと続くなら、別の人が現れた時に僕は真剣に検討する。」とか、
「今、はっきり決めないんだったら、僕はこれ以上は待てない」とか。
本気でなくこんなことを言うのだとしたらそれはお勧めしませんが、僕は本気でした。
つづく