失われゆく生物多様性~企業の潜在リスクへの備へ
サラヤのヤシノミ洗剤は
「手肌と地球にやさしい」を宣伝コピーにした
定番の人気商品です。
そんなヤシノミ洗剤に、違法でなく潜在的に存在していた生物多様性のリスク・・・。
生態系破壊をNGOが突き上げたり、
圧力をかけるケースが増えてきている中、
2004年の騒動をきっかけに顕在化した
「パーム農園による熱帯雨林の破壊」...。
大規模パーム農園を開くために次々と伐採され
熱帯雨林が破壊されている問題がテレビなどで報じられました。
『ボルネオ島の熱帯雨林の破壊につながるので、ヤシノミ洗剤を
作るのをやめてください。』
という投書やメールが会社に殺到したため
不買運動が起きるのではないかと心配になったそうです。
サラヤのヤシノミ洗剤は
成分解性の高いパーム(アブラヤシ)の油を界面活性剤として使っていますが、
加工後の界面活性剤を商社などから合法的に調達してきてたため
熱帯雨林が破壊されている問題は遠い話だったと、
サラヤ(大阪市)商品開発本部商品企画室の代島裕世次長は当時を振り返ります。
これをきっかけに!!
洗剤の使用後だけでなく
原料も問題視されることがわかります。
→生態系を破壊しない
持続可能な原料調達の必要性Σ(´∀`;)
それからのサラヤの対応は早かったです。
2004年11月には、サラヤ社長自らがボルネオ島に飛び、
熱帯雨林の破壊の実態とパーム農園視察して回りました。
翌年1月には、『PSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)』に加入。
この団体への加入と同時にサラヤは、
マレーシア・鯖州野生生物局と協力して
傷ついたゾウを救出する活動も始めました。
2006年10月には同社の支援で
サバ州野生生物局内」に
『NPOボルネオ・コンサベーション・トラスト』を設立。
「緑の回廊プロジェクト」が始まります。
こうしたサラヤの取り組みが
再びテレビ番組で取り上げられると
今度は消費者から
応援メッセージが届くようになりました。
ヤシノミ洗剤の販売量は数年間減り続けていましたが、
放映後の2006年10月期は
前年度比2%の増加に転じました。
それから、「命の吊り橋プロジェクト」「動物の救出プロジェクト」
「RSPO加盟・認証制度の普及」のプロジェクトも行っています。
「ヤシノミ洗剤を今後も売っていくなら、
熱帯雨林と野生動物の保全活動なしにはありえない。」と
代島次長は語ります。
参照:生物多様性読本(日経エコロジー)より