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「友へのスケッチ/SKETCHES FOR FRIENDS」Edward Ardizzone

2017.10.25 14:30

エドワード・アーディゾーニが日本で親しまれる作家になってから久しいですが、国外の作家に限らず、作家自身のことを知る機会というのはあまり多くないかと思います。アーディゾーニは、晩年に書き上げた自らの半生を綴った自伝が、一昨年日本からも出版されておりますが、また別の角度からアーディゾーニの人柄を伺えるのが、この「友へのスケッチ」です。

アーディゾーニは「ダイアナとサイ」を描いた1963年に、当時ボドリー・ヘッド社という出版社で子どもの本の編集をしていたジュディ・テイラーに出版を依頼しました。そこから始まった二人の友情は、1979年にアーディゾーニが亡くなるまでおよそ16年に渡って続きました。アーディゾーニの代表作チムシリーズの最後の2冊もこの出版社から刊行されています。

そのジュディ・テイラーが、アーディゾーニの友人や彼の本の編集に携わった人たち、また新聞の文芸欄などでも依頼広告を出し、集まったアーディゾーニからの手紙を厳選しまとめたのがこの本です。

その手紙は1935年から1976年頃までと、実に40年以上の作家の記録となります。

内容も実に様々で、いろんな場所から、さらっとラフな線で描かれたものから、しっかり彩色され一つの作品のようになっているものまで。しかし、どれもアーディゾーニの絵本そのままに、 物語が見えてくるようなスケッチばかりです。

スケッチには度々アーディゾーニ自身も登場し、本当に身のまわりのささやかな出来事を家族や友人たちに描いて送っていたことがわかります。読者に向けられた作品ではなく、たった一人のためだけに描かれた絵と言葉は、アーディゾーニの日常と心情に寄り添ったものばかりで、画家アーディゾーニの父としての顔、おじいちゃんとしての顔、夫としての顔などが垣間見れ、大好きだった絵本の、その向こう側を見ているような、くすぐったくも、胸が熱くなる、ちょっと特別な読書体験なのです。受け取った人たちがみんな、何十年もの間大切に手紙を保管していた理由がわかります。

巻末には、アーディゾーニが自身の楽しみのために空想上の人物スノッドグラス氏へ宛てた手紙も掲載されていますよ。

現在当店には、日本語版、英語版ともに在庫がございます。

また、一昨年行われたアーディゾーニ展のことを書きましたブログで、アーディゾーニがどんな作家だったかも少し伝わるかと思います。ご興味ございましたら、こちらも合わせて読んでみていただければと思います。


当店在庫はこちらです。

SKETCHES FOR FRIENDS」Edward Ardizzone

友へのスケッチ」エドワード・アーディゾーニ