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心持ちの大事

2017.10.29 04:57

臨床で最も大事なことは、これでいいのかな?治らなかったどうしよう?などと迷わずに自信を持って淡々と治療をすることです。


日本古流派の夢分流の『鍼道秘訣集』というテキストに”心持ちの大事“として記載されています。

鍼灸師なら必読の書です。

迷いは患者に伝わります。

この先生に私の体を預けて大丈夫かしら?

疑心暗鬼を喚起し治療が効かなくなります。

それだけでなく、迷うと邪気を受け、治療家自身の健康を害します。

迷う人には共通の特徴があります。

基本的な勉強と

基本的な技術が

足りていません。

何においても勉強と練習は付き物です。

技術職は特にです。

何のために勉強し練習するのでしょう?

夢を叶えるため、試合に勝つため、治療を成功させるため等、目的を達成するためを表の動機とするなら、裏にあるのは不安や迷いを断ち切るためです。


練習で上手くいかないまま本番に臨むことほど不安なことはありません。

事実、僕も毎朝の鍼練を欠かした日はその日の臨床が不安で不安で仕方がありません。

治療効果に影響するのが怖くて手が止まり、余計な確認を繰り返し、時間に追われて嫌な汗をかき普段の数倍疲れます。

このような心持ちで治療して上手くいくはずがありません。

だからこそ、不安や迷いを断ち切るために勉強し練習するのです。

鍼灸師はやることがたくさんあります。

鍼灸臨床に必要な基礎基本の学問を修めなければなりません。

一本の鍼と一つまみの艾で癒し和らげ治し防げるように成るためには腕を磨かなければなりません。

それだけでなく、学と術は常に更新していく必要があります。

個人の勉強だけでなく学会や勉強会に足を運ぶことが大事です。

僕は毎朝自分に鍼をして、以下のことを確認しています。


■1ミリも浮かさず1ミリも沈めず圧0で切経できているか?

■生きて働いているツボを正しく取穴できているか?

■押し手の重さは適当か?

■押し手の下面の最も狭いところから鍼が出ているか?

■取穴したツボに寸分たがわず鍼尖が当たっているか?

■刺し手の鍼を持つ力加減は適当か?

■刺し手の人差し指と鍼が平行になっているか?

■真っ直ぐに力を伝えられているか?

■粗暴な刺入になっていないか?

■目的の深さをとらえられているか?

■気至るの感覚の確認。

■抜鍼の際の押し手の左右の加減は適当か?

■気を漏らさずに抜鍼できたか?

■鍼口を塞ぐスピードと力加減は適当か?

■脉状は良い方向に変化したか?


一部を挙げましたが、来る日も来る日も自分に鍼を打っては確認し納得した上で臨床に入ります。

この確認を怠ったことによって訪れる惨劇を考えると恐ろしくて欠かすことができません。

知識や技術を習得する目的は、大衆の前でひけらかすためではなく、患者が納得する説明ができ、病体を癒し和らげ治し防ぐことができるように成るためです。

そしてそのためには、不安や迷いを断ち切って、治療家の心持ちを万全にし、自信を持って臨床に当たることが一番大事です。

もうひとつ、患者が治らなかったらどうしよう?の本音は、治らなかったら来なくなる、そうすると治療代が稼げない。だそうです。

こんな心根は、治療家の資質を下げると、池田政一先生は強く戒められておられます。

胸に刻む必要のある厳しくも有難いお言葉です。

でも食うてくためには金がいるんだから“生活をするために仕事をする”んじゃないの(ノ`△´)ノ

という反論が大半を占めるでしょう。

確かにそうなんですが、こう考えてみませんか?


“仕事をするために生活をする”