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いのちの物語Ⅰ

2017.10.29 09:18


「小さな いのち」~夏~


5年まえの夏 水びたしの小さなきみは

どこからともなくやってきた。


僕の方を いっしゅん見たかとおもうと 

公園のトイレにある 

冷たいアスファルトのうえに


パタリと横になって 

たおれてしまったきみ。


手のひらにのせたきみの

小さな小さな心臓は

まだゆっくりと動いていて

あたたかかったよ。


体のわりに大きな前足を 

ぐっと つきだしたかとおもうと


手を差しのべているかのように 

笑ってたね。


小さな小さなきみをのぞき込んだら

あんしんしたように ねむりについた。


だけどぼくはきみが

死んでしまうんじゃないかと


それはそれはあせってね、

いそいで家につれて帰ったんだ。