ネットネット株
ネットネット株について、グレアムは、「その価値が価格と比較して、少なくとも50%以上高いものだけを、「割安」銘柄と呼ぶこととする」としています(賢明なる投資家152頁)。
つまり、価格は100円だけど、その価値が50%以上高い、価値は150円以上のもの、そのような銘柄が割安だ、ということですね。
150円のものが100円で売られていれば割安。つまり、本質的価値の3分の2以下の価格で売られていれば割安だ、ということです。
(同じことを、同著164頁でも、「われわれの定義する割安とはその証券の評価価値の3分の2以下であること」と述べています。なお、438頁にも、「われわれが購入を進めているのは、(中略)評価価値の3分の2以下で買うことができるものである」との記載があります)。
そのような割安株には、色々ある、とグレアムは述べます。
いわゆるDCF法を用いて計算して、上記の「割安」の定義に該当すれば、それも割安だ、と述べています(同著152頁)。
このように、割安株には色々あるけれど、「最も見分けやすい割安株は、優先負債をすべて差し引いた後の純運転資本以下の価格で売られている株式である。」(同著155頁)というのがグレアムの主張なんですね。
同じことは、「正味流動資産(割安)株」としても紹介されていて(同著324頁)、
「この売買法の基本は、正味流動資産のみを考えた(つまり、工場設備を含むその他の資産は考慮に入れない)簿価よりも安い価格で買える株をなるべく多く取得することである」としています(同著同頁)
そんなこんなで、ネットネット株は、「証券分析」ではなくて、「賢明なる投資家」に記載があったのでした。
ちなみに、グレアムは、大多数の個人投資家には、防衛的投資方針を進めています。
ネットネット株は、「積極的投資家」、つまりほとんど自分の仕事と同じくらいの情熱と時間を投資に注ぐ人だけにしか勧めていないんですね。
ところで、このネットネット株、要するにBSしか見ないで判断できるような銘柄なわけで、定量的なことだけで、定性的な判断が不要という意味では、非常に簡単な投資方針だと思いますが、赤字会社で毎年BSも食いつぶしていくような会社では、とても投資できないですよね。
なかなか面白いと思うのですが、個人的には、今はとても手を出す気になれない投資方法です(将来的にはわかりません)