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studio Kattini

氣を前に出す

2017.11.01 01:32

お能の講座、3回目になりました。

「人間五十年」という仕舞を学んでおりますが、とても面白いです。

動きがゆっくりでシンプルな分、常に瞬間瞬間に全身に注意が必要で、どうにもなりません。

でも、こういうときにこそ、アレクサンダー・テクニークを知っていて良かったと

つくづく思います。

できなかったり、うまくいかないことにとらわれず、淡々と楽しんでいます。


先生がおっしゃるには、お能では作品によって、シテが女性であるか男性であるか、年齢、どんな人物であるのか、どんなことを思い、感じているのかを、この極端に制限された舞を通して表現されるので、時間をかけて「氣を前に出す」という訓練をされるそうです。


型の背後にあるものを、訓練してゆくのですね。

お能の大切にされているもの、それが芸として今までに伝わっているもの。

これらは言葉になかなか現すことができませんが、わたしがすごいと思うのは、こういうものを支えてきた観客の存在です。


言葉に現すことのできない世界を共有できる能力を持っている、意識の高さです。

あるいは、老いも若きも、そういうものを大切に育てる教育です。


「高砂」という謡も一緒に習っていますが、これもどうにもなりません。笑。

ほとんど音程がなく、ときどき長い音があったりするくらいで、西洋の複雑なメロディーに比べると、音読しているような感じですが、先生が歌うと言葉が生き生きとして、細胞全部に伝わってくるような氣がします。


音(声)の波動に乗って、いろいろなものが伝わって来る。


先生の存在自体が意識が違うのか、先生の話し声を聞くだけでも、わたしは眠くなってしまいます。

まるで披講を聴いているときのよう。


学校で学んだ知識の理解とはまったく違った理解の仕方です。

そして、これは守り続けなくてはいけないわたしたちの感性ではないか、と思うのです。