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2017シーズンフォメ振り返り

2017.11.02 14:16

2日連続の更新。あんまり連投してネタ切れにならないようにしつつ・・・。

本日のお題はフォメ。フォーメーション、陣形です。

どのサッカーチームにもそれぞれの選手の基本的な立ち位置や役割があり、それに応じてフィールドプレイヤーの中でも細かな呼び方に分かれたり、自陣ペナルティエリア内で「手を使える」という権限を1人だけ持ったゴールキーパーも配置されます。3-5-2や4-4-2など、GKを除いた守備陣の人数から数えていくのが一般的ですが、最近は呼び方もより細分化されつつあり、特に中盤の形が分かるように4-5-1を4-2-3-1や4-1-4-1などと細分化したりします。また、試合中に変化したり、攻撃時と守備時では違う形をとったり、これだけ見ていてもなかなか楽しいものです。多くは監督の意思が反映され、試合中や交代選手の伝達で位置が入れ替わったりフォメが変わったりもします。また多くは無いですが、選手の位置は出場選手同士で話し合って入れ替わったりします。同じ役割で左右の選手が入れ替わっていたり、某代表選手は押し込んでいる時間帯に守備の選手に前に行かせて自分はサボっているのも見ました(笑)サボっているというよりは、ベテランの自分が行かなくても良い局面なので体力を温存しつつ、後ろから大事なことだけは指示だけ出していましたから、頭はゲームに参加しながら、体だけ休むという感じでしょうか。

フォメには特徴や相性もあります。1試合試してうまくいくとは限らないのは、相性が悪かったりこちらの良さを消してしまう特徴を持ったフォメを相手が採用したりすることが多いです。中には相性などお構いなしのレベルにまで完成度を高めたフォメも過去にはありました。そのほとんどは、練習する時間を長くとれるクラブチームであり、代表レベルでそれを実現するとなると、一貫したコンセプトで長い時間を掛けるか、奇跡的に戦術に合った選手が同時期に代表に居るなどの条件付きになります。


前置きが長くなりましたが、今年のパルセイロレディースのフォメの変遷を見てみようと思います。

2016年シーズン、「3点取られたら4点取り返すサッカー」と自他ともに評された長野のフォメはほとんどの試合でこんな感じの4-1-3-2でした。

1人の守備的MFに、活躍が認められ代表にも当時初選出され話題になった國澤選手を置き、3人の攻撃的MFで支えつつ横山&泊の2トップで得点を狙う。稀代の決定力を持つ横山選手と抜群の瞬発力を持つ泊選手の攻撃力を最大限に生かそうとする分、攻撃と守備が5:5になり、どうしても守備は手薄になりがちでした。結果、昇格1年目にして3位という素晴らしい結果を残したものの、得点も失点も多い方から3番目という出入りの激しいサッカーでした。ガチガチに引くよりこの方が楽しいので、1年目の集客(リーグトップ)にこれが寄与したという意見もありました。

で、2017シーズン。恐らく開幕前から横山選手の海外挑戦を念頭に置きつつ、本田監督が取り組まれたのが4-4-2の新フォメでした。

バックと2トップはそのままに、中盤の形を守備的MF2人+左右の攻撃的MF2人に変更。齋藤選手がそのまま下がるような形になりました。開幕からこのフォメはまずまず機能し、得点は減りましたが失点も目に見えて減り、前年より安定した戦いを見せていました。しかし、横山選手の移籍後はこれが機能性を失い苦しむことになります。

横山選手がいた頃は、2トップ両方に裏抜けの危険性があるので相手とすれば積極的な押し上げが難しく、また中盤の中央に空いていたスペースも横山選手がここでもらってキープすることで穴になっていませんでした。しかし横山選手移籍後、押し込まれた後にボールを前に出してもすぐに奪い返されずっと相手の攻撃に晒されることが多くなりました。

守備でボールを奪った後、夏場は大体この形からパルセイロレディースの攻撃が始まるのですが、サイドが両方下がり過ぎていてボールの出し所が2カ所しかなく(中野選手と泊選手)多くの場合中野選手が受けるのですが、その場合裏抜けは泊選手だけなのでケアし易く、中野選手には複数選手が囲んで自由を奪う、というのを多くの相手チームがやってきました。中野選手は他チームの選手が目標・尊敬する選手に上げるほど素晴らしい技術を持った選手ですが、数カ月のブランクがあったことと、横山選手とはタイプが違うのに中野選手に合わせた周囲の動きが少なかったように見えました。リーグカップのノジマ戦で3得点入り復活の兆しは見えたものの、リーグ再開後は勝ち星を上げられない期間が続き、前半戦の貯金を使い果たしてしまいました。

フォメを変更したのは14節の伊賀戦くらいからでしょうか。神田選手を、それまでの右の攻撃的MFではなく中盤の底に配置した4-3-3が試されました。

しかも守備重視でDFラインも左右の中盤も下がり気味だったそれまでから一変、ラインを高く設定し全体的に押し上げました。このアウェーでの一戦は観戦できなかったもののインターネットラジオ中継があり、全体的に押し上げていることが実況・解説共に伝えられていました。このフォメ変更には、國澤選手を前に出したい意図も感じられました。代表合宿でサイドバックを試されたように、國澤選手は走力がありクロスも上手いと思います。負けが続いていた時にも大きなチャンスを作っていたのは國澤選手の長い距離の上りでした。後述の2試合の中で右アウトサイドに出ていた時間帯もありました。そんな伊賀戦は得点こそ奪えなかったものの、アウェーを久しぶりの無失点で切り抜け、勝ち点1を持ち帰ります。ただ、このフォメで臨んだ次節のホーム新潟戦を0-1で惜敗、次のアウェーちふれ戦も1-2で落としてしまいます。この2試合とも、長い時間(特に前半)相手に主導権を握られていて、フォメ云々もありますが、慣れないメンバー構成やフォメで自分たちでミスをしてしまったことと、そして新潟はリーグ再開後無敗、ちふれは勝ち点を落とせない中でリーグ再開後に五分の星だったこともあり、相手の状態の良さや気合いに押し込まれてしまったような感があります。そんな中、ちふれ戦の前半途中で中盤の形も各選手のポジションも入れ替えられていたようです。

一筋の光明となったのが、後半途中出場した内山選手のエンドラインぎりぎりでのドリブル突破→齋藤選手の繋ぎ→中野選手のゴール。負けはしたものの、久々の得点。コンバートされてDFラインに入っていた五嶋選手と藤村選手もだいぶ試合数をこなしてきた次節の17節ノジマ戦で本田監督はフォメを4-4-2に戻しました。

ちふれ戦で試した木下選手の守備的MF起用をそのまま継続。中盤左にはシーズン初先発の内山選手(後半は右に)。個々の役割が少しずつ変化する中で原点回帰した4-4-2は機能し、後半一気に3点を奪っての3-0快勝でした。最終節のレッズレディース戦も、アウェーで押し込まれながら無失点で切り抜け、苦しかったシーズンを6位で終えました。


明後日の皇后杯も、選手の入れ替えは多少あるにしても、この4-4-2がベースになるんだろうと思います。来季に向けてまた新たな発見があるのか、ノジマ戦のような気持ちいい試合運びができるのか。流れが悪かった頃の迷って迷って・・・ではなく、のびのびとプレーできて、その上で勝利してくれればと願ってます。