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歩く人

2017.11.03 02:18

「人間は考える葦である」とは人間を鼓舞するパスカルの有名な言葉であるが、それに付け加え「人間は考えて歩く葦である」と私は考えている。

そして、芭蕉が病床で「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」と詠んだように、実際に歩くことがなくても、人はみな歩く葦であると私は思っている。

人間とは、その精神のうちに住まう者だからである。


ということで、昨日は神奈川と東京の境である蒲田から銀座まで歩くことになった。

駅で言えば、蒲田-大森-大井町-品川-田町-浜松町-新橋-銀座という約15㎞の道程である。

本当は東京を股にかけて、西の端である蒲田から東の端である竹ノ塚まで歩きたかったかが、時間と体力の都合で断念した。

実を言うと、私がある程度の距離を歩くのはだいたいスランプのときで、最近は月に一度ぐらいのペースで歩いている。

電車で行けば30分もかからない道だが、徒歩で経路検索すると3時間の距離である。

だが、昨日は3時間半もかかってしまった。

そうして無駄と思える時間を浪費することで、私は自分を鼓舞している。


前にも書いたが、今の時代、東京というのは歩くのにはなかなか不便な街であり、車両優先の街づくりになってしまったために、真っ直ぐ歩いていると突然有料道路が歩道を塞いでいたり、川を越える橋に歩道がなかったりする。

と思えば、ビル街の一角に古めかしい社があったりするから面白い。


仕事が終わったのが18時半で、蒲田という街のことはいずれ話すので割愛するが、ここから帰宅を目指す。

30分も歩くと大森に入る。大森には大森貝塚がある。

こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、街全体に縄文の雰囲気が残っている。

いつか大森貝塚を訪れてみたい。私は学生時代考古学部にも属し、貧弱ながら発掘のお手伝いをしたことがある。

シュリーマンのように引退したら再びかつての文明に思いを馳せる老獪になりたいとも考えている。

さらに進むと大井町だが、ここは私の好きな街でもある。

何があるということはないが、その特別何もないように思える街の空気が私には合っている。

さらに東を目指と品川である。

街の中心は特別綺麗である。

だが郊外にいくにつれ、空き地の草木が目立つ街でもある。

また、品川にはあまり良い思い出がないが、品川プリンスホテルにはちょっとした苦い思い出がある。

いずれプリンスホテルに長期滞在して作品を仕上げるような作家になりたいものである。

次は浜松町。

浜松町といえば、私の好きな浜離宮と東京タワーがある。

今日は時間がないので寄り道は断念した。

新橋。

飲むには最高の街である。

そしてようやく銀座。

銀座はやはり私にはまだ重い。

だが今回銀座を歩き、一つ欲望が沸き起こった。

今は歩くだけだが、いつか東京の夜景を見ながらヘリコプターで飛んでみたい。

チャーター機なら10分3万程度であるが、一時間ぐらいの東京夜景をお世話になった人に見せたい。

5年以内に叶える目標にする。


早足で書いてきたが、歩くとは人を人にさせる行為であるとも言える。

何も考えずに歩くのは困難である。

哲学者カントが毎日決まった時間に歩くのを日課にしていたように、ニーチェが散歩の途中で啓示を受けたように、歩くとは思考を伴う。

そして芭蕉のように、私は歩く生活を夢みている。

いつか日本列島を歩いて横断する。

その道中で人に会い、人に触れ、人になる。そんな旅をするのが私の夢である。