御所解き文 (ごしょどきもん)
2017.11.03 06:17
明確な定義も、定まった様式もありませんが、現代の女性にも人気の文様が御所解き文様です。
江戸時代中期から後期に、大名の奥方や御殿女中の衣服に御所解き文様という独特な意匠が用いられました。
文様は山水の風景や花々、御殿などの家屋や枝折り戸などの風景でした。
これが明治時代になって武士階級が崩壊し、庶民が力を得てくると、町人の間でもこの優雅な文様を公然と身につけられるようになりました。
なぜ御所解きというかについては諸説あり、御所風の流れや、その小袖を一度解いて仕立て直したからなどと言われています。
いずれにしても、御所とは関係のない文様であるのは明らかです。
【御所解き文】 ごしょどきもん
松楓橘桜の植物に、雲霞を背景として御所車、狩り烏帽子を配して、「源氏物語」をテーマにしているかもしれません。
文芸性を秘めているのが御所解き文の特質です。
【御所解き文】 ごしょどきもん
「御所解き」の名前は明治初期につけられたと言われていますが、和の暮らしを見直そうという気風が再び生まれてきた現代で、再評価されてもよい文様の一つです。
【柴垣に秋草風景】 しばがきにあきくさふうけい
渋い色合いで老松や柴垣のある庭の景色を全面に配しています。
若い女性向きだけではなく、中高年向きの落ち着いた御所解き文も見られます。