「小人の星ニュウ」ウンベルト・エーコ 文 エウジェニオ・カルミ 画 Umberto Eco Eugenio Carmi
2015.11.17 09:51
「フーコーの振り子」「薔薇の名前」で知られるイタリアの作家ウンベルト・エーコが絵本を出していると知って、驚く方もいるのではないでしょうか。こちらの「小人の星ニュウ」はエーコが画家のエウジェニオ・カルミとともに作った絵本の三作目です。
お話はというと、地球のある王さまが新しい土地を欲しがって、宇宙へと探検隊を派遣します。探検隊はその後、宇宙の僻地で「ニュウ」という小人たちが平和に暮らす美しい星を見つるのです。そして小人たちに地球の素晴らしさを説明しようとするのですが、その地球は人間の手で既に汚されてしまっていて、、、
地球を外から見る、という批判的な視点を上手く使った絵本です。小人たちが最後に言う「私たちが地球へ行って、あなたがたを発見することにしましょう」というセリフのアイロニーと言いますか、視点の逆転には多くの批判が含まれていると思います。
カルミの絵も象徴的な効果を使って描かれていますので、その一つ一つを、これは一体なんだろう?とお子さんと話しあったり、考えたりしながら読んでいっても楽しめると思います。
ちなみに今月末にはこの二人のコンビの、長らく絶版だった絵本「火星に行った3人の宇宙飛行士」の復刊が六耀社より予定されています。ですが、こちらの「小人の星ニュウ」と「爆弾と将軍」は復刊の予定も無いようで、手に入れるのはなかなか難しいかもしれません。この機会に如何でしょうか?
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