初心者が迷いやすい Oリング1個の終了点
リードクライミングにおいて終了点でどのようになっているか?
実際に登ってみないとわからないこともあります。
終了点にはさまざまなカタチがあり、状況に合わせて一番安全な方法でロアーダウンをする必要があります。今回リードクライミングをはじめたばかりの初心者が迷いそうな終了点について解説します。
終了点の種類とロワーダウン/ラッペル時のロープセット方法に関して、JFAのHPでも解説してくれているので、ぜひ確認ください。
初心者が迷いやすいと感じたのが、この二つの終了点
写真:JFA HPより
何が迷いやすいかと言うと通常終了点には2か所アンカーボルトが設置されており、1箇所破断してももう一か所でバックアップできるようになっています。
ダブルリングのように個別のOリングが付いていれば、ひとつの支点が破断したり、ひとつのOリングが破断してももうひとつのアンカーやリングがバックアップとなってくれるので、両方のOリングにロープを通すのだとすぐに理解できます。
しかし、FIXE社製V字アンカーやFIXE社製ラッペルステーションの場合、Oリングはひとつしか付いていません。もちろんもし支点が一か所崩壊したとしてもチェーンによってもう一か所バックアップがとれているのはわかっているのですが、「もしOリング自体が破断したら?」と考えてしまい「他の場所にもロープを通す必要があるのか?」「カラビナでバックアップ取った方がいいのか?」と迷ってしまうのです。
一番下のリングだけにロープを通す
FIXE社製V字アンカーやFIXE社製ラッペルステーションでは、一番下のリングにロープを通してロワーダウンします。下のリングは2つの支点が効いていると考えます。通常、ウィークポイントは支点だと考えるので、チェーンやリングの破断よりも施工状態が見えないボルトの方を心配するのでこの場合、Oリング1か所だけを通してロワーダウンします。
ただ私のようにOリング自体の破断を想定する人がいるために、リングやチェーンにカラビナが残地してあることがあります。その場合カラビナも利用するとよいでしょう。カラビナが無い場合、より安全を考えるならカラビナ残地も選択肢だと思います。
安全のためと考えたことが逆に危険に
カラビナ残地せず、リングの破断を心配だからとOリングの他に、金属同士が噛み合ってるチェーンに直接ロープを通してロアーダウンしてはいけません。金属同時の摩擦によってロープが切断される恐れがあり、Oリング1か所でロアーダウンするよりも危険なので絶対にやってはいけません。
それまでOリング2つの終了点しか経験のない人が、突然Oリング一か所の終了点に出会うと戸惑って冷静さを失う危険性があります。これら知識を知って冷静に対応しましょう。
では最後に確認のため
FIXE社製V字アンカーやFIXE社製ラッペルステーションでは上記写真のように一番下のリングにロープを通してロワーダウンします。
写真提供:JFA
おまけ
写真のようにOリングが付いていない終了点では、チェーンの末端をOリングの代わりに使用します。
写真提供:JFA
写真で見れば「Oリングの時と同じようにやればいいのね」と思いがちですが、チェーンの場合Oリングのような穴径がないので、ロープを二つ折りに折り返して穴を通すことができない場合があります。
その場合、先に自分の結び目を解き、ロープ先端からチェーン穴に通す必要があります。この時結び目を解いたロープを誤って地面に落としてしまうと大変です。
ロープを落とさないように、支点に安全環付カラビナを設置してクローブヒッチ(巻き結び)で固定し手を離してもロープが落下しないようにしてから、自分の結び目を解除するようにします。
想定外の問題に対してパニックにならないよう少しずつ知識と経験を積んでいきましょう!