「愛車」のつくり方(前編)
愛を注がなければ愛車にあらず
昨年の春、あるきっかけでY12型日産ウイングロードをタダ同然で入手しました。2012年式で走行距離は約6万5000㎞。状態としては年式なり、走行距離なりってところでしょうか。
もう一台の所有車であるラルゴが25年モノの大中古のため、しばらくこいつをファミリーカーとして使用しておったのですが、オーテックのメッキホイールや特大のルーフスポイラー等が奢られた、いわゆる「ライダー仕様」のエクステリアがどうにも好きになれない。
走ってもスカスカというかペラペラというか、感性に訴えるものが何もない。まあ根はライトバンですからね。実用の道具としては優れた点も沢山あると思うんですが、趣味として乗るにはちょっと厳しい。で、とっとと処分して安い輸入車でも買うかと考えていたのですが、いやちょっと待てよと。
仮に安値で叩き売ったら次のオーナーに手荒く扱われてすぐ廃車になるのがオチ。それだったら次のオーナーが少しでも大事に乗りたくなるような車に仕上げてから手放そう、まあこう思い直した訳であります。好みではない車だからこそカスタムする意義もあるってことで。
ちなみにこのウイングロード、ラゲッジが広く、アンダーボックスがウオッシャブル仕様だったり、ベンチが付いていたり、助手席まで倒して長物が積めたり、車中泊もできたりとアウトドアシーンでの使い勝手はかなり良好。
単純な機構ながら、意外と使えるのが「イージーラゲッジベンチ」。外でカップヌードル食べるときによく使ってます(笑)
そんなこんなで始まったライトなカスタム。何はなくともまずはホイールっすね。メッキホイールは高級車ならエレガントに見えるでしょうが、もろ大衆車のウイングロードだと貧乏くさく見えてしまう不思議。
我が家はマンションなのでちょっとした塗装作業でもかなり気を使って準備。ホイールの塗装面を耐水ペーパーでざっと荒らしてよく洗い、プライマーを吹いてから塗料を重ね塗りしていきます。乾燥が不十分で表面に水分が残っていると塗料を弾いてしまうので注意
そこで純正サイズの鉄チンホイールの中古を入手して自分でペイントすることに。キューブやティーダ等と同じ(たぶん)なので入手はイージー。ヤフオクで新品同様のものを4本1万2000円程度という格安でゲットしました。ラルゴときはシャシーブラックでしたが、今回はソリッドグレーに塗ることに。アサヒペンの「スチールグレー」にクリアを重ね塗りして仕上げました。
4回ほど重ね塗りした状態。いわゆるひとつのウェットコート。最近のラッカースプレーは質が良いので正しく使えば誰でもこれぐらいの仕上げられると思います。ただし耐久性はいまいち。完全に硬化していても固いものが軽くぶつかるだけであっけなく剥げる。だからボディに使うのはあまりおすすめしません。
ホイール塗装はラルゴでやったばかりなのでお手のもの。カー用品店やホームセンターなどで簡単に入手できる揮発乾燥塗料(いわゆるラッカー)の缶スプレーでも、焦らず正しい手順を踏めばかなり綺麗に仕上がりますよ。特性上、プロが使う二液ウレタン塗料比べて塗膜が薄いので飛び石などを食らうと簡単に剥がれちゃうのが欠点ですが。まあでもホイールですからね。傷だらけになったらまた塗れば良いし。
この個体は記録簿を確認すると私で3オーナー目でしたが、前オーナーの扱いがかなり悪いかったよう。車内はタバコ臭いし、インパネに直にビスを打ってるし、センターパネルの小物入れの蓋も壊れたまんま(目立つ)。極めつけは電源に直結されたカーナビ。つまりエンジンを切ってもナビだけは点きっぱなし。配線の途中に汎用のスイッチが取り付けられていて、自分で電源を落とさなきゃいけないというクソ仕様でした(笑)
もちろん即修復。前の車で使っていた2019年製のパナソニック・ストラーダにショップで入れ替えてもらってます。
小物入れの蓋が破損していたエアコンパネルも状態の良い中古品をヤフオクで入手して交換。もとは大理石を模した思しきセンスの悪いパネルが付いていたので、模様ナシの普通のやつに変更してます。
タバコ臭かった車内は強力洗浄剤クイックブライトでインパネ、天井、シートを洗い倒して、エアコンフィルターを交換(めちゃ汚れてました……)してかなり改善。最後にスチーム消臭剤かけて雲散霧消。ついでに欠品していたトノカバーをヤフオクで購入し、曇りまくっていたライトも磨いて何とか乗れるようになってきました。
人間の心理なんて単純なもんですね。たったこれだけの作業でも愛着が爆増。ちょっと手放すのが惜しくなってきました(笑)
(文・写真/佐藤旅宇)
センターパネルの蓋が破損。常に目に入る部分なので気になってしょうがない。
取り外しは隙間にリムーバーを突っ込んでこじるだけ。傷が付かないよう不要なカードをかませてます。
ヤフオクで約1600円で入手した中古のセンターパネル。
インパネなどもクイックブライトで洗浄して完成。つや消しのプラの質感が蘇って、コクピット内の雰囲気が一気に引き締まりました。
エアコンフィルターは2年ほど前に交換履歴があったが、ご覧の通りの真っ黒。うへえ。
ライトの磨きにはKURE「ルックス」というケミカルを使ったのですが、これが驚くほど曇りが取れましたねえ。布で5~6分磨いただけで右の状態が左のようになります。黄ばみは落ちないけどひと目で分かるほどクリアになる。おすすめです。