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「宇田川源流」【土曜日のエロ】 宗教の戒律と趣味のダンスによる社交イベントで揺れる女性の権利

2022.01.21 22:00

「宇田川源流」【土曜日のエロ】 宗教の戒律と趣味のダンスによる社交イベントで揺れる女性の権利


 今週も土曜日のエロの日になった。今週のニュースといえば、やはりトンガの噴火であろう。テレビなどを見ていると、やはり「オミクロン株」の方が大きな扱いなのだが、なんとなく、オミクロン株の感染者の増加をニュースとしていること自体が、何かおかしい気がするのである。

勿論感染者が増えたことは心配ではあるし、感染者という「分母」が増えれば、当然に「重傷者」「死者」という所も増加することになる。しかし、岸田内閣は、今まで安倍内閣・菅内閣とやってきた経験値があるにもかかわらず、何故「何を重要視してコロナウイルス対策を行うのか」ということを明確にすることができないところが大きな問題であろう。

そのような話よりも、というか、そのようなニュースがあったところで、これも2020年、まだダイヤモンドプリンセス号が横浜港に停泊していた時と全く変わらずに、そんなニュースが見えていないということになる。そのような「全く成長のないニュース」を取り上げるのは、土曜日でなくてもよい気がする。

それよりも、重要なのはやはりトンガの噴火であろう。

まずは海外で地震があったり災害にあったら、どうするのかということになる。実際に、災害などの話というのは、その国の文化性が如実に表れる。それまではなんとなく相手に合わせたり、あるいは何か考えられる行動を行うが、人間が生死の境をさまようときになると、その本質が現れることになるのである。まさに、国が貧しい所や、心が貧しい人などは、そのような行動になってしまうのである。

同時に、神や死生観というのが必ず表に出てしまう。そのことから考えれば、トンガの中に様々な人の本音が渦巻いたのではないか。日本のように、日本人がほとんどである場合は日本の文化や日本の死生観で物事が動くのであるが、トンガの場合はどうであったのだろうか

さて、その神の意思と、そうではなく、人間の意思が食い違った場合にどうなるのかということになる。これはトンガではなくエジプトの話である。

ベリーダンスを踊った教師、解雇され離婚も エジプトで女性の権利めぐる議論に発展

 エジプトで先月、ベリーダンスを踊った女性教師が解雇される出来事があった。この教師のダンス動画は拡散され、女性の権利や社会的に保守的な同国の価値観をめぐる国民的議論が巻き起こっている。

 アヤ・ユセフさんはナイル川の船上で行われた職場の社交イベントで、ベリーダンスを踊った。同僚はその様子を無断で撮影した。ユセフさんはその後解雇され、夫から離婚すると告げられた。

 動画には、男性教職員と一緒に音楽に合わせて踊る女性の姿が映っている。

 ベリーダンスの起源はファラオの時代にさかのぼるとされる。しかし、現在のエジプトでは女性が人前で踊ると顰蹙(ひんしゅく)を買うことが多いという。

   「恥ずべき行動」と批判

 イスラム教徒が使用するヘッドスカーフをかぶり、長袖のドレスを着たユセフさんが日中にナイル川で開かれたイベントに参加する様子を捉えた動画は、欧米の基準からすれば非常におとなしいものに見える。

 ところが、動画がこの1週間でアラブ諸国のソーシャルメディアで広く共有されると、エジプトの保守派の間で反発が起きた。

 ユセフさんが恥ずべき行動を取ったとの批判の声が上がった。ある人は、「私たちが生きている哀れな時代を明示している!!何もかもが許されるという時代をね」とツイートした。

 別の人は、「エジプトの教育が低水準に達している」として、関係当局の介入を求めた。

 その後、ユセフさんは数年間勤務していたナイル川デルタに位置するダカリーヤ県の小学校から解雇された。ユセフさんはアラビア語を教えていたという。

   自殺を考えたことも

 ユセフさんは今後は2度と踊らないと誓っている。そして、自殺を考えたこともあると語った。

 「ナイル川の船上での10分間が、私の命を奪った」と、ユセフさんは記者たちに言った。

 エジプトの女性の権利擁護派は、ユセフさんは悪いことは何もしていない、魔女狩りの犠牲者だと強く訴えた。

 別の学校の教頭は、ユセフさんへの支援と個人の自由を守るため、自分が娘の結婚式で踊ったときの写真をソーシャルメディアに投稿した。

 エジプト女性人権センター代表のニハド・アブ・クムサン博士は、ユセフさんに同センターでの仕事を提供し、解雇に対する法的申し立てを行うため教育省から発行されたユセフさんの契約書を持参するよう求めた。

 その後、地元当局はユセフさんを新たな学校に赴任させることを決めた。人権センターの動きがきっかけで地元当局が考え直した可能性がある。

 ユセフさんは今回の出来事について、「プライバシーの侵害」だと主張。公的機関や生徒の前で踊ったわけではないとし、動画を撮影した人物を告訴する方針だと述べた。

(英語記事 Sacked belly-dancing teacher sparks Egypt debate )

2022年1月12日 17時8分 BBC News

https://news.livedoor.com/article/detail/21497333/

 さて、エジプトで教師がその学校の社交の場でベリーダンスを踊ったら、解雇された上に夫から離縁されたという。まあ、このような姿が、ネットで流出して、そのことから大騒ぎになったのが問題であったらしい。

そもそもベリーダンスというのは古代エジプトで発祥であり、中東およびその他のアラブ文化圏でイスラム教が普及する前に発展したダンス・スタイルであり、これらを総称するために造語された呼称である。エジプト、トルコ等、アラブ全域で踊られる。女性が腹部や腰をくねらせて踊る為、欧米ではBelly(腹部)Danceと呼ばれているが、本場のアラビア語ではRaks Sharki(東方の踊り)と呼ぶ。13世紀末に建国された当時のイスラム教宗主国であったオスマン帝国(現:トルコ)でも、スルタンのために世界中から集められた女性がハレムにおける教育の一環としてダンスも学んでいたとされており、スルタンのために踊る姿が描かれた絵画も多く残されている。

ここまでの解説でわかるように、基本的にはイスラム教で許された踊りではあるが、しかし一方で「スルタン」に対して女性が「身体を売る」ための内容であったということになる。つまり「特別な踊り」であって、その踊りを許される場と相手が決められているということになる。もちろん、そのような歴史までわかる人は少ないのかもしれない。しかし、スルタンの前で行うということは、当然に、「女性が女性としての魅力を見せる」というものであって、当然に、イスラム教の戒律には反する行為になる。ではなぜスルタンの前では許されたのか。それは「スルタンとの夫婦関係」であったためであり、その女性も他の男性の前でベリーダンスを踊れば処刑されるということになる。

このような歴史的な背景を見れば、比較的世俗的なエジプトやトルコでは伝統になっているが、音楽や踊り、(女性の)肌の露出を禁忌と考えるイスラーム主義過激派(原理主義者)には懲罰・攻撃対象となっいてることになる。

さてエジプトで踊ってしまった。しかし、そこに夫ではない男性がいた場合、解釈としては、単純にベリーダンスを披露したということになるが、解釈の方法によれば、「女性が浮気相手を誘惑している」ということにしかならない。もちろん、単なる「学校の職員の中の懇親会」であればよいが、しかし、それがネット上に流れてしまえばそのようにはならない。夫は離縁したということだが、そもそもベリーダンスを習わせたところから、そうなることは推測されていたはずである。それにもかか割らず、社会的な批判があればそうせざるを得ないということになろう。

最終的には人権団体が入ったということであろうが、私からすれば「ダンスそのものの歴史などが見えていなかった」ということになるのではないか。そのうえ、それが戒律的にどのように解釈されるのかということが問題になるのではないか。

同じエロでも宗教的にどのように解釈されるか、また、その内容を許容されるのかだけではなく、どのようなシチュエーションならば許されるのかということまで含めて、考えなければ、安全には遊べないのかもしれない。日本でよかった。