連続ブログ小説最終回(豊島)
あけましておめでとうございます(遅)
いやはや、もう既に1月も終わりに近づいていますね。またもや大幅な更新遅延、大変申し訳ありません…。
先週末、2022年点と仕事始めとしてぴあフィルムフェスティバルin京都での『距ててて』上映に立ち会ってきました。上映後は登壇してディレクターの荒木さんや、みにきてくださった方々とたくさんお話することができ、すごく良い時間を過ごすことができました。
これから劇場公開に向けて動いていく中で京都の皆さんからいただいた感想や質問にすごく勇気づけられ、心から行けてよかったと感じています。本当にありがとうございました!
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加藤さんから甥っ子の動画をたくさん見せてもらいました。(そしてこちらも見せた)
子供は本当に面白いし、可愛いですね〜。
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<連続ブログ小説>
さて、やっとやっと最終回を迎えることができました、、、というか向わせました(笑)
このブログは本当に実験の場で、とりあえず思いついた企画をやらせてもらっており、それが映画づくりにつながったりもするのですが…この企画は正直思ったより大変でした…でももちろん、色々発見があったのも事実です。振り返り?はまた次回書こうかなと思います。
とりあえず、この無鉄砲な小説(になっているのかどうか…)を、もしも読み続けてくださった方がいたら本当に本当に感謝です。(間違いなく読み続けてくれたのは加藤さんですね。まじありがとう)
それでは、最終回、どうぞお読みください〜〜〜!
※これまでの小説一気読みページはこちら
【最終回】
二人の姉妹と、ひと組のカップル、そして一人の養鶏農家。五人の人間たちは、目の前にそびえ立つ「デパンマ」を唖然とした表情で眺めていた。
そのつややかに美しい体をどっしり山の斜面へうずめた「デパンマ」は完全である。直径25メートルほどの球体は、くすみ一つない銀色で、太陽の光を浴び熱く熱く輝いている。球体の至る所には梯子がかけられ、球体の上では耐熱の防護服をきた人間たちがその表面に所狭しとメロンパン生地を並べている。「デパンマ」は、一説によると1日10万個のメロンパンを焼き上げる能力を持つという。しかしそれを実現するためには後78,000のニワトリと、6,300の人間を集めることが急務である。
我々は人間が見失いがちな働きがい・やりがい・生きがい対策にも抜かりがない。いわゆる福利厚生(絶品のメロンパンは、いつだって満足の行くまで食べ続けることができる)の他、「デパンマ」の周囲では老若男女あらゆる世代の人々が一続きに手を繋いでグルリと大きな円をつくり、声をからしながら叫び続ける。
「アイサァー、オス!アイサァー、オス!」
厳しい状況下でひたすらメロンパンを並べ、点検し、回収する職人たちを、同程度の身体的負担を引き受けつつ応援しているのだ。その顔は真剣そのものである。涙が出るほど美しい光景を活力に、職人たちは高いモチベーションを保ちながら働き続けることができる。
この偉大な光景を目にした人間たち。姉妹の姉の方は、もう間も無くこの町の住人になるであろう。あの燃えるような瞳を見ろ。口元はすでに、掛け声と同時に小さく動いているではないか。
今焼きたてメロンパンを手渡されたカップルも、一口かじれば二度と外へ出るとは言うまい。鶏農家の男は、鶏の調達から飼育まで、既に我が町において欠かせない存在であることは言うまでもない。
だが…。姉妹の妹の方である。さっきからゲラゲラと笑っているが、それは、どうやら嘲笑のようにも見える。さて…。
ここは一人残らず全ての町民が平等に、幸せに暮らす町。
我々は、我々の賛同者を守るため、町民の心の健康を守るため、町の平和を乱す要素は、必ず、排除する。 (終)
京都の後行った奈良で大木を見上げる私たち。
知り合いが撮ってくれたお気に入り写真。