中国の砲艦外交
2010.04.20 15:40
中国人民解放軍海軍をPLAN(People's Liberation Army Navy)と呼ぶが、
その艦隊10隻が、わが国の沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域を一周し、
哨戒にあたった海上自衛隊に対し、威嚇照準を合わせた。
普天間問題で隙のできた日米関係を試すだけでなく、
軍事的には脅威と捉えつつも、経済的には協調主義を取る、
日米の対中姿勢をあざ笑うかのような行動だ。
人民元切上げへの圧力をものともしていない。
軍事力によって、対米外交をも優位に進めている。
1996年の台湾総統選挙妨害の際、PLANは米空母2隻によって牽制されたが、
今や米海軍を台湾へのアクセス拒否まで押し込め、
既にその制海権は第一列島線を越えつつある。
21世紀前半の世界において、大国同士の戦争は無いとの分析が主流を占めているが、
この中国の砲艦外交はまさに19世紀のものである。
有事の際、日米両民主主義国が、一党独裁国家の軍隊に対し、
即応性で不利にならないかどうか、
普天間基地移設問題でぎくしゃくする日米同盟の隙をついて、
わが国への脅威は新しい時代(あるいは大昔の古い時代)に進んだ(逆戻りした)と認識すべきである。
畠中光成