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憲法施行63年-海洋国家のアイデンティティーを

2010.05.03 01:14

現行憲法が施行され、改正されないまま63年も経過している。

日本国憲法は、実は世界でもっとも古い憲法になってしまった。

今月18日には、国民投票法が施行されるが、

果たしてその準備はできているのだろうか。

 

まず、政権与党である民主党が、

憲法審査会を中断させていることは大問題である。

国家の根本を議論させないとは何事か。

そして、政治全体が憲法から目を背けている傾向がある。

現在の政党の基本理念や、各国会議員の問題意識が、

憲法に向かっていない。

参議院選挙の争点を見ても明らかで、

からくも「たちあがれ日本」と「自民党」がマニフェストに挙げている程度である。

よって、国民も、何とはなしに「改正したほうが良いかも」程度で、

強い世論を形成しえない。

当然、メディアなどは、全くあてにならない。

 

果たしてこれで良いのか。

憲法を国内問題として考えすぎではないか。

あと数年で、日本をとりまく国際環境は大きく変化する。

2012年に台湾総統選挙があるが、同時に中台の軍事バランスが崩れる時でもある。

2012年は韓国大統領選挙であり、親日の李明博から交代する。

2012年は北朝鮮の掲げる軍事強盛大国実現の年であり、

テポドン発射準備や韓国哨戒艇爆破事件に見られるように、

この国は何をしでかすか分からない。

金正日からの政権移行が安定的に行われるかどうか。

そして1~6個保有していると言われる核兵器を、

安定勢力が確保できるかどうか。

2012年は中国国家主席も交代する。

2012年はアメリカ大統領選挙もあり、オバマが継続できるかどうか。

米国が内向きにならないか。

日本に集団的自衛権が無いことを、大多数の米国上院下院議員は知らない。

有事など何かをきっかけに日米同盟が破棄され、

取り返しのつかない歴史を歩みはしないだろうか。

 

日本が周辺の環境を気にせず、

内紛で汲々としている「島国」になっている。

これではいけない。

日本のアイデンティティーは「海洋国家」にある。

歴史と伝統に基づいた

アジア太平洋の平和維持のリーダーとして、

少なくとも前文と9条は見直す責任がある。

 

極論、憲法を考えない国政など、あってもなくても良いものだろう。

その程度ならば、官僚に任せたほうが、よほど良い仕事が出来る。

政治・メディア・教育など、憲法を考えさせない既存の体制が、

わが国の未来を蝕んでいる。

 

 

畠中光成