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サミュエル・ハンチントン「文明の衝突」から

2010.01.08 02:20

われわれ日本人が世界を考えるとき、

とかく我が身の立ち位置を正確に把握するのが苦手なようだ。

ある時は尊大になり、ある時は卑屈になる。

 

日米中の正三角形論や、日米欧の三極論など、

いろいろ言われているが、果たしてそれらは正確な表現か。

 

10年前の書物であるが、あらためてサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」を読みかえしてみた。

冷戦構造崩壊後の世界を描いた大著であるが、

冷戦期は米ソの二極構造であったが、

現在は米国という超大国といくつかの大国がある、一極・多極型構造にあるという。

 

日本の位置付けはというと、

1)超大国(アメリカ)・・・

経済、軍事、外交、イデオロギー、テクノロジー、文化

いずれの領域においても傑出しており、

世界のほとんど全ての領域を勢力圏におさめて国益を増進させる力がある。

2)地域大国・・・

アメリカのようにグローバルに権益を発揮する力はないが、

世界の重要な領域で支配的な役割を演じている国。

ヨーロッパの独仏連合、ユーラシアのロシア、中東のイスラエル、南アジアのインド、南アメリカのブラジル、

そして東アジアの中国である。

3)No.2の地域大国・・・

影響力は地域大国よりも弱く、その権益はしばしば主要な地域大国と対立する。

独仏連合に対するイギリス、ロシアに対するウクライナ、イスラエルに対するエジプト、

インドに対するパキスタン、ブラジルに対するアルゼンチン、

そして中国に対する日本である。

 

ハンチントンは日本には潜在的に地域大国になる要素があると述べているものの、

あくまで東アジアのNo.2という位置付けと評価した。

 

ここから考えるに、日米中の正三角形論や日米欧三極論などは、明らかに尊大なのだ。

日米同盟なくして中国と渡り合う愚かさや、

超大国アメリカへのあなどり、が見えてこないだろうか。

 

私はハンチントンの言う、日本の潜在的な変動要因と中国に、近未来の鍵があると思っている。

すなわち、

1)中国はこのまま安定的に成長するのか

2)日本はこのまま衰退していくのか

である。

 

間違えてはならないのが、ハンチントンはエコノミストではない。

経済のみならず軍事、外交、イデオロギー、テクノロジー、文化など、

全領域において、国家のパワーを語っているのだ。

経済一辺倒では、日本はもう立ち行かないと解釈してほしい。

 

 

畠中光成