葉隠入門

2011.09.04 00:09

台風12号の大雨が続く日曜ですが、起床時間は変わらないので、

早朝から本を読み、7時に読了。

 

「葉隠入門」三島由紀夫

葉隠の最も重要な一節は「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」ですが、

他にも髄に響く言葉がたくさん記されています。

 

◎端的只今の一念より外はこれなく候。一念一念と重ねて一生なり。

(結局のところ重要なのは、現在の一念、

つまりひたすらな思いよりほかには何もないということである。)

 

◎天下国家を治むると云うは、及ばざる事、大惚の事の様なれども、

今天下の老中、御国の家老年中の仕事も、この庵にて咄し候事より外はこれなきものなり。

これにて成程治めてやる事なり。

結局あの衆は、心元なき事あり。

国学知らず、邪正の吟味せず、生まれつきの利発にまかせて、

諸人這ひ廻り、おぢ畏れ、御尤ももとばかり申すに付、

自慢私欲出来るものにて候なりと。

(天下国家を治めるということは、一般の人にはとうていおよびもつかない、

たいへんなことのように考えられがちだが、

現在、幕政の中心にある老中や藩の家老、年寄などの仕事も、私がこの草庵でいままで話してきたことのほかには、これといって特別のやり方をしているわけではない。私の話した心得によって、国を立派に治めていけるものなのである。

結局のところ、あの人々には何か安心できないところがある。

お国の伝統も知らず、正邪の判断もせず、ただ生まれつきの才気にまかせて仕事をしているからである。

みんなが権力をおそれてへいつくばり、ご無理ごもっともなどと頭を下げてばかりいるので、

いよいよ慢心と私欲にとらわれていくものだからである。)

 

畠中光成

http://hatanaka.cdx.jp/