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消費税10%の前に

2010.06.17 23:00

菅首相が消費税率を10%に上げることを表明した。

数字の根拠は示さず自民党の公約に抱きついた形だ。

 

私は、ギリシャの財政危機を横目に、日本も財政危機だから、

消費税を上げろという主張に疑いを持つ。

日本の債務残高は825兆円(09年末:財務省)だが、

一方で日本政府の資産は実に約500兆円もある。

よって資産を差し引いた純債務は約300兆円なのである。

純債務だけを考えると、経済成長でやりくりできない範囲ではないということになる。

もちろん資産には動かすことのできないものも含まれるし精査が必要だが、

単純に粗債務だけを強調するのはフェアではないと思うのだ。

 

また、ギリシャは70%が海外からの借金であるが、日本は95%が国内の貯金である。

高齢化により毎年50兆円ずつ減っていると言われるが、

個人金融資産は実に1400兆円もある。

ギリシャと同列視しして財政危機を煽り、消費税増税をするのは、適切でない。

 

問題の本質は、10年以上も続く「長く緩やかなデフレ」にある。

平成元年の消費税3%、平成9年の消費税5%による税収さえも、

あっという間に飲み込んでしまうほど、経済と税収を冷え込ませた。

つまり、まずデフレを解消しないことには、消費税の増税もスパイラルに飲み込まれてしまうということだ。

このままでは国民の血税が、政治家の無能、日銀・財務省の保身によって、

数年で水泡と化すのは目に見えている。

 

その点で、今回の参院選の争点は順序がおかしいと思われ、消費税増税の前に、

本来は脱デフレのためのマクロ経済政策が争点になるべきなのだ。

消費税を上げれば、政治家の歳費削減など、しょうもないパフォーマンスが目に浮かぶ。

そんなものは必要ないから、知恵を出してくれと言いたい。

 

 

畠中光成