「自転車に乗って、」
♪自転車に乗って、歩きだす様な
そんな速さの 幸せがいいな
自転車に乗って、走ろう♪
今では俳優として活躍中の濱田マリさんが、モダンチョキチョキズというバンドで歌っていた頃の曲。
ライブにも行ったなぁ…懐かしいです。
最近、自転車を買いました。
久しぶりの自転車は、まず、お尻が痛い。
そして何より、気持ちいい。
車ではパッと通り過ぎてしまうものを味わえます。
風、路地の鉢植え、行き交う人の声、ご飯のにおい…。
邪魔な段差も横暴な運転も、その立場になってわかること。
自転車くらいのスピードだと、周りの世界を切り裂くことなく、調和しながら進んでいる感じがします。
自転車は自力で作れるスピードで最速かもしれませんね。
激しすぎると体に良くない場合もあるでしょうが、のんびりサイクリングはたぶん「自然」です。
人力を変換して作り出せる以上のスピードは何となく「不自然」、何かしら心身に負担がかかるような気がします。
飛行機や新幹線など、高速移動はなぜ疲れるのでしょう?
乗っているだけで特に労働もしないし、眠っていたとしても疲れることがあります。
私が昔から思っている答えは、「自分の形を保つのに、必要以上のエネルギーを使うから」。
気を抜いたら形を保っていられなくなるのではないかと。
スピードに付いて行けずに流れたり、圧に耐えられずに弾けたり、…妄想してしまいます。
自分が崩れないようギュッとまとめておくために、いつもよりたくさんエネルギーを消耗する。
活性酸素もたくさん発生するので、細胞も傷むし、その修復にもまたパワーが要る。
そういうあれこれを「疲れた」と感じるのではないかと考えています。
動物は具合が悪いと他との接触を避け、食べずに眠ります。
食べると消化にエネルギーが要るし浮腫むので、傷の治りが悪くなるのを知っているのだそうです。
家の猫も、先週避妊手術を受けてからずっと寝ていました。
無くなった臓器の喪失感と折り合いをつけているようにも見えました。
新しいフォーメーションで生きる準備時間だったのでしょう。
1週間経って術後服を脱がせたら、開放感いっぱいに走り回っています。
時間が薬とはよく言ったものですね。
野菜だって、促成栽培より旬の路地ものの方が美味しいし体も喜びます。
きっと、生きものには生きるに見合った自然なスピードがあるのでしょう。
そんな速さで暮らせたらいいですね。