過疎の町に①
母と二人旅をしてきました。
島根県にある大田市大森町。世界遺産になった石見銀山のある人口400人程度の町です。
ここにある古い建物や、数多く残る自然は、日本の昔の暮らしを想像できる素晴らしい場所です。私たちは、この町を愛しこの町に暮らす松葉登美さんというライフデザインをしている服飾デザイナーさんにお会いしてきました。
群言堂というアパレルショップを全国に展開する会社の社長さんなのですが、その会社を営む理由は、日本の古き良き文化や、暮らし、自然の恵みを活かし切る知恵を、若い人に継承し、世界に誇れる日本の素晴らしい宝物を未来に残すためだと伺いました。
日本人は世界に誇る素晴らしい宝の文化を捨て続けていて、本当に悲しいという話を、デンマークの友人から時々聞く事があります。
便利で暮らしやすい世の中になっていく事は素晴らしい事だし、世の中の流れについていく事も大切な事かもしれないけれど、日本らしさや、古き伝統や暮らし方を守る事も、この先大切な事の一つになっていくのだと思います。
その中には、もう無くしてしまったもの、今頑張れば間に合うものがあり、松葉さんたちは、今頑張れば間に合うものを活かし、現代のセンスと組み合わせて、とてもお洒落な暮らし方を楽しんでおられました。
とは言うものの、この町で暮らしながら大切にしたいものを守っていくには、お金が必要です。楽しいだけでも、強い思いだけでも、それを成し遂げる事は不可能です。
松葉さんはこの地に 株式会社石見銀山生活文化研究所という会社を立ち上げ、全国に「根のある暮らしを楽しむライフスタイルの提案」を、アパレルショップを展開して発信しています。
ここの服や雑貨は、全て国内生産。大森町にある本社でデザインし、パターンを作り、近隣の県にある縫製工場などを利用して、質の高い服を生産しています。
染色は、全てこの地で取れる木の実や花、葉などを使い、生地から作っています。
なので、お値段もそれなりにするものばかりですが、その利益は、日本の古き良きものを守るため、若い人に継承していくために使われています。
現在、服や雑貨、暮らしぶりを綴った書籍から、興味を持った若い人たちや、アーティストたちが、多く移住してきているそうです。
石見銀山生活文化研究所では、この町の古民家をリノベーションした群言堂の本店と、「他郷阿部家」という1日限定3組の宿を運営しています。
ここで働く人たちが、この会社を深く愛している事や、その発信の仕方(商品を通じての発信はもちろん、宿に泊まり、暮らしや文化を体験させてくれる事)があまりにも素敵で、今後の自分自身の仕事のあり方を考えるのに、とてもいいきっかけになる旅になりました。
まだまだ書きたい事が沢山あるので、また時間のある時に書き綴りたいと思います。