クライミングロープの選び方
リードクライミングが楽しくなってくると、マイクライミングロープが欲しくなりますよね。
命を守る大切な道具だからこそ、ちゃんとしたものを選びたいですよね。
でも、いざロープを買おうとインターネットで調べると、あまりの種類とメーカーに何を基準に選んでよいのか迷ってしまいます。
そこで今回、リードクライミング用ロープの選び方に関してまとめてみたいと思います。
ダイナミックロープとスタティックロープ
ロープには大きく分けて2つの種類があります。それがダイナミックロープ(中国語:动力绳)とスタティックロープ(中国語:静力绳)です。簡単に言えば、ダイナミックロープは落下時、クライマーへの衝撃を抑えるために良く伸びるようになっています。スタティックロープは人命救助等に利用するロープなので基本落下することを考慮せず伸びないロープのことです。
フリークライミングでは必ずダイナミックロープ(中国語:动力绳)を使用します。間違ってスタティックロープを購入しないようにしましょう。
ダイナミックロープとスタティックの違いに関して下記サイトを参考にしてください。
まずはシングルロープを選ぶ
フリークライミングで使用するダイナミックロープですが、フリークライミングの種類によって更に3つに分類されます。「シングル」「ダブル」「ツイン」です。
私たちが通常行うスポーツクライミング、ルートクライミングは、シングルロープを使用します。
ダブルロープとはアルパインクライミングで使います、ツインロープはダブルロープと似ていますが、アイスクライミング等で使用します。詳しく知りたい人は下記リンクを参照してください。
強度はUIAA耐墜落回数で比べる
次に大事なのは、何と言ってもロープの強度ですね。強度が高い方がより安全と言えます。ロープの強度を比較する場合目安となるのが「UIAA耐墜落回数」です。
この数値が高いほど丈夫なロープだと言えます。
例えばエーデルリッドのロープでは「UIAA耐墜落回数」を「落下テストパス回数」として表示しています。この数値が高いほど丈夫なロープということです。
落下テストパス回数だけで比較すると、ロープ径10mmスポーツラインのパイトンよりも、ロープ径9.5mmプロラインのイーグルライトの方が軽くて落下テストパス回数が高く丈夫だと言えます。
一般的にはロープが太いほど丈夫なのですが、各メーカー最上級モデルでは「軽さ」と「細さ」と「強度」を兼ね備えた最新モデルが出ており、強度が逆転している場合があります。
軽いほどアプローチが楽ちん
次に比較するのが軽さ。外岩に行く場合、アプローチで登山するのは当たり前です。荷物が軽ければ軽いほど岩場でのパフォーマンスも出ますし、高難度の課題にトライする場合、助けになるでしょう。
重量は1mあたりの重さで表示されています。ロープは軽ければ軽いほど良いですが、軽くなるほど強度が失われます。またロープの径も細くなってきます。このあたりのバランスがロープ選びのポイントとなってきます。
ロープ径は10mm前後がベスト
最後に確認するのがロープ径、ロープの太さです。クライミングにおいてロープ径は太ければ太いほどロープを握りやすく取り扱いやすくなります。またビレイデバイスもよく機能し安全です。一方終了点での結び替えなど、あまりに太すぎると通りません。Oリングを通す時などは適度に径が細い方が穴に通しやすいので、10mm前後の径が良いとされています。
径が細いほど軽量化できますが、同時に強度を失ってしまうます。そういった意味でも10mm前後の径が最も扱いやすいでしょう。
防水はあってもなくても
おまけで紹介するのが、防水機能です。ロープは水を吸収すると重くなり強度が低下します。また冬季吸収した水分が凍結するとロープのしなやかさと強度を著しく低下させます。それを防止するため、各メーカー最上級モデルには防水機能が追加されています。
ただアイスクライミングを行わない通常のクライミングであれば、防水機能は必ずとも必要な機能ではありません。防水機能を備えたロープはとても高価なので、あえて機能を省略したモデルを選ぶのも良いでしょう。
ロープの寿命
メーカーや使用回数や使い方によってロープの寿命は変化します。ロープが切れてしまってから替換していては遅いので、ロープの使用状況を見て早めに替換するようにしましょう。
エーデルリッドの日本代理店アルテリアのHPにはロープの寿命に対してこう記載されています。
エーデルリッドのロープは以下の通りです。
最長耐用年数: 未使用かつ適切な状態で保管された場合 12 年
使用頻度が低い場合: 保管、使用方法が正しく、また使用頻度が低く目立った消耗箇所が無い場合 10 年
使用頻度が高い、または過酷な状況で使用する場合: 汚れやすい環境(砂、埃)での連続する懸垂下降や岩角との磨耗等は、ロープを著しく消耗させ、寿命を数週間程度に短くしてしまう場合があります。
原則として、以下のような場合、製品は廃棄されなければなりません: 外皮の毛羽立ちが激しい、芯が見えるほど外皮が傷ついた、化学薬品と接触した、大きな墜落(落下率 > 1)をした
寿命に達したロープは1~10m毎に切って、荷造り用のロープにしたり、クライミングをはじめたばかりの人にプレゼントしてロープワークの練習に使ってもらうと良いでしょう。
ロープは使用前であれば10年前後使用できます。市場価格に対して値段が著しく安いロープを購入する場合、製造年を確認しましょう。製造から3年以上経過している場合もあるので注意が必要です。
保管状態が良ければ、使用には全く問題ありませんが、寿命の計算は購入日からではなく製造年から数える必要があります。
ロープの先端に製造年を記載しておくと良いかもしれません。
強度・軽さ・ロープ径のバランスが良く値段を見て購入
今まで紹介してきた「強度」「軽さ」「ロープ径」そして「防水の有無」を確認してロープを購入します。長さは1本目の購入であれば60mを購入するのが良いでしょう。
一部30m越えのルートもありますが、とても少ないですし、重たくなってしまうので60mがオススメです。
あとはお財布と相談して、自分に合ったロープを購入します。
メーカーは「エーデルリッド」「マムート」「ベアール」「エーデルワイス」「PETZL」「BlackDiamond」がメジャーです、購入して間違いないでしょう。
「ミレー」「CAMP」も少ないですが、市場にあり良いと思います。
中国のメーカーもありますが、桂林陽朔14クライマーのアダムから「中国メーカーはUIAAの企画認証とってないからやめた方がいい」と言われたのでいくら安くてもやめておきましょう。
条件に合った最高の一本が見つかること願っています!