絵本『のげしとおひさま』
新年度、4月を迎えました。春は植物に目を向けて取組みを強化していくので、今回は私の大好きな作家さんの作品をチョイスしました。
植物や小さな生き物を描いたらピカイチの甲斐信枝さんの作品は、何冊も手元に置いているのですがどの作品を読んでも丁寧で温かさを感じます。数年前に見た甲斐さんのドユメンタリーでそのお仕事ぶりが作品に反映されていることを知りました。今回の『のげしとおひさま』もまた小さな営みの中に存在する自然の大きな仕組みを感じ取ることができる絵本です。
一本ののげしが自由にいろいろな場所へ移動できるかえるを見て羨ましがる場面からこの物語は始ります。
植物は全身で陽の光を求めて成長しますが、絵本ではかえるやありなどの生き物に花先向けている様子がとても健気で甲斐さんらしい表現です。
絵本では植物の種の保存については具体的な説明はなされていませんが、擬人化したのげしと生き物たちの関わりにより間接的に種の保存について物語が展開していきます。
作家の甲斐さんが表現する擬人化されたのげしは愛らしく優しさを感じます。きっと甲斐さんがスケッチのためにのげしに話し掛けているのだろうかとさえ想像してしまします。
のげしは立っているだけで自由に移動できないことを受け入れつつも、何処かへ行きたいと願いながらおひさまと会話をする場面は、どこか寂しさを感じつつこれが自然の摂理だと子供達に教えてくれます。
のがしはおひさまの言葉を信じて来る日も来る日も自由になるその時をじっと待ちます。ここからは絵本を手にのげしの世界を味わってください。
まるでこののげしの花がコロナ渦の私達を現しているようで自由に動けない日常を耐え忍んでいるかのように思えます。感染対策でリスク回避を行いつつ健気に日常を取り戻せる日を信じようと思うのです。