韓国の「騙し討ち」の本性を顕わにした佐渡金山問題
韓国がついにその本性をむき出しにしてきた。
「佐渡島の金山」のユネスコ世界文化遺産への登録推薦をめぐって、自民党の高市早苗政調会長は1月24日の衆議院予算委員会での質疑で、戦時中に佐渡に強制連行された朝鮮半島出身労働者は存在せず、戦時徴用は国際法上も「強制労働」には当たらないことを認める答弁を、岸田総理や林外相から引き出した。
これについて、韓国外交部の崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官は25日の定例会見で、「日本政府はすでに国際社会に向け、強制労働があったことを認めている」として、次のように発言した。「2015年に『明治日本の産業革命遺産』がユネスコの世界文化遺産に登録される際に、日本政府は1940年代に多くの韓国人が本人の意思に反して動員され、過酷な条件のもとで強制的に働かされた事実があると公式に認めた」。
<KBS日本語ニュース22/1/26「高市氏の強制労働否定発言 外交部「日本がすでに認めている」>
当ブログでは過去に「デタラメ映画と徴用工のウソ」(2017/08/08)などでも指摘してきたように「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録に当たっては、日本は韓国による完全な「騙し討ち」に会い、とんでもない欺瞞工作の被害を被ってきた。
長崎県の端島炭鉱(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」については、2015年5月、ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)によって、8県にまたがる産業遺産23施設すべての登録を認める勧告が出されたが、韓国は登録申請のあった23施設のうち7施設で「戦時中に朝鮮半島出身者が強制労働があった」とし、世界遺産登録を強硬に反対した。
しかし、世界遺産委員会の開催半月前の同年6月21日、訪日した尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官と岸田外相による日韓外相会談で、「日韓両国は,世界遺産委員会の責任あるメンバーとして,同委員会の成功に向けて協調し,「明治日本の産業革命遺産」と「百済歴史地区」という両国の推薦案件が共に登録されるよう協力していくことで,完全に一致した」(外務省広報資料)とし、韓国側は反対姿勢を撤回した。
ところが、それから半月後の7月5日、ドイツ・ボンで開かれたユネスコ世界遺産委員会で、韓国側は日韓外相会談で登録に協力するとした合意を完全に反古にし、展示資料などに「強制労働」の文言を入れるよう強く要求してきた。そのため、議論は紛糾し、登録決定は一日、先送りされた。韓国との協議で日本側は、登録施設の一部において「意思に反して」連れてこられた朝鮮半島出身者がいたことを認めた上で、「情報センター」の設置など、犠牲者を記憶にとどめる措置を行うこととした。この日本側の対応について、韓国メディアは一斉に凱歌(がいか)を上げ、「日本、国際社会で初めて強制労働認める」などと大々的に報じた。
登録決定の翌日、日本側代表団が出した声明では、多数の韓国人が「その意思に反して(against their will)連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた(forced to work)」という表現は、「強制労働(forced labor)を意味するものではない」と苦しい弁明をし、岸田外相も「こうした措置が、日本企業への賠償請求訴訟に使われることはないと信じる」と表明したが、すべては「あとの祭り」だった。 案の定(じょう)というべきか、その後の展開は韓国側の思惑どおりで、日本は「してやられた」というしかなかった。韓国側が「強制労働(forced labor)」という言葉を公式文書でも使ったことが分かり、外務省の杉山晋輔外務審議官が急遽、ソウルに飛び、韓国外交部のカンターパートに抗議する場面もあった。
そうした経緯は、たとえば聯合通信が2015年7月6日付の「『強制労働』と『働かされた』 韓日で異なる解釈=世界遺産」という記事を配信し、 ハンギョレ新聞が2015年7月3日付の「最後まで難航する日帝強制徴用施設の世界遺産登録」という記事でも詳しく報じているので、日本が韓国の言い分を決して認めていないことは分かっていたはずだ。
そういう経緯をすべて分かっているはずの韓国外交部・崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官の「日本政府はすでに国際社会に向け、強制労働があったことを認めている」という発言は、「河野談話」が慰安婦の強制連行があったことの証拠だと主張する韓国の言い分とまったく同じで、自分たちは強制連行や強制労働という具体的な証拠を何も提示できないのに、日本側が公式に認めているから、それらがあったことは間違いないという強弁なのである。
「河野談話」は実際には、事前に韓国側と文案のすり合わせが行われ、「元慰安婦らが自分の意に反する形で集められた」ということを日本が認めれば、「過去の問題に区切りを付ける」と韓国側が言ったので、その言葉を信じて出した談話だったと、石原信雄元官房副長官が2014年4月2日の参議院調査会で証言している。
韓国側がいう佐渡の金山で朝鮮人の強制労働があったという具体的な根拠は、日本の市民グループ「強制動員真相究明ネットワーク」が去年(2021年)10月23日に開催した「強制動員ZOOM講座」で広瀬貞三(福岡大学名誉教授)が佐渡鉱山で「強制労働」させられた朝鮮人労働者は2300人余りだという主張に依拠していることが分かった。
広瀬は前回、このコラムで紹介した「佐渡鉱山と朝鮮人労働者(1939~1945)」という論文の著者で、この論文では1940年2月から1942年3月までに募集に応じて動員された朝鮮人労働者は1005人だったという記録はあるが、1942年4月から終戦までの2年間の記録は残っていないとしていた。しかし、広瀬は「強制動員真相究明ネットワーク」のオンライン講座では、終戦までに動員された朝鮮人労働者は2300人余りだと主張し、前回のコラムでも明らかにした通り、自分の論文では「強制労働ではなかった証拠」をあれだけ列挙しながら、これら2300人は全員が「強制労働」だったと主張しているらしい。広瀬という人物は、日本学術会議の推薦委員非承認問題でも政府に抗議文を出すなど、朝鮮総連に近い共産党系の人物である。
韓国側は、「強制労働」を証明する確たる証拠を自分たちの手でつかめないものだから、相変わらず日本側の研究資料に頼るしかないことを示している。しかし、広瀬が示したよりもっと詳しい佐渡鉱山での朝鮮人労働者に関する資料が見つかった。「歴史認識問題研究会」(会長・西岡力)が公開した元佐渡鉱山採鉱課長の平井栄一編著の未公開稿本『佐渡鉱山史 其ノ二』である。
<歴史認識問題研究会「佐渡鉱山が朝鮮人強制労働の現場ではなかったことを示す資料」>
それによると、1940年2月から1942年3月までの募集に応じた朝鮮人労務者1005人のほかに、1944年の263人、1945年の251人を含め、計1519人の「朝鮮人労務者の移入」を受け入れ、終戦と同時に残留人員1096人を送還したと明らかにしている。
そして、「待遇賃金制度、稼働奨励方法等概ね内地労働者と同一で主として坑内夫として就労し請負単価により稼高に応じ賃金を支給し、一ヶ月の稼働成績に応じ精勤賞与を与へ扶養家族の多寡及稼働日数に応じて米価補給を行ひ毎年二回の勤労賞与を交附し一般に家族持労働者には社宅の無料貸与、共同浴場施設、米、味噌、醤油其他生活必需品は購買会にて廉価配給及家族傷病の場合の診療等を実施し」とあり、すなわち賃金など待遇は日本人と同じで、それぞれの職務の請負単価に応じての賃金、さらにその月の業務実績に応じての精勤賞与が支払われ、扶養家族の多さや従業日数に応じて食糧補給が行われ、その他生活物資の配給が行われた。
また「勤続三ヶ月以上に及びたるときは団体生命保険に加入せしめ各人在籍中の保険料は一切会社負担し万一不幸ありたる場合保険金三百円を贈呈し災害に対する扶助、退職の場合の給与関係等につき内鮮区別なく移入当時は一人一日米一升程度を普通とし漸次減食せしめ特に配給米実施後は盛切り飯とし配給米の特に不足を来せる場合は甘藷、大根、乾麵等の混食にて間に合はせた」という。すなわち「内鮮区別なく」、つまり日本人と同様に朝鮮人も、保険料は全額会社負担で団体生命保険に加入し、「移入当時」つまり日本に来た当初は1人1日お米一升程度の支給を受けていたが、戦時で次第に配給が困難になると甘藷、大根、乾麵等で補ったという。 常識で考えれば分かるとおり、戦時という状況であれば、こうした食糧事情は日本人も同じだった。
さあ、このどこに強制連行や奴隷労働を示す実態があるのか?仮に彼ら朝鮮半島出身の労働者たちが日本に来ずに、朝鮮半島でそのまま暮らしていたとして、日本にいる以上に豊かに暮らせたという実態や証拠はあるのか?あるのなら、是非とも具体的な証拠とともに提示してほしい。
ところで、自民党の高市早苗政調会長が衆議院予算委員会で、「佐渡の金山のユネスコへの推薦について、韓国外交部の報道官の論評や大統領選挙韓国を3月に控える韓国への外交的配慮もあるのか?」という質問に対し、林外相は「文化審議会の答申を受けて佐渡の金山の世界遺産登録を実現する上で何がもっとも効果的かという観点から政府内で総合的な検討を行っている。韓国に外交的配慮を行うということは全くない。佐渡の金山に関する韓国側の独自の主張については、日本側としてはまったく受け入れられず、韓国側に強く申し入れを行った。また韓国内で事実に反する報道が多数なされていることは極めて遺憾であり、引き続きわが国の立場を国際社会に説明していきたいと思っている」と答弁している。
<【国会中継】衆院予算委 高市早苗質問(2022年1月24日)>
高市氏の言うとおり、ことは日本の名誉に関わる問題である。外務省は、林外相の答弁通りに、韓国の不当な言い分をはねつけ、歴史の真実を堂々と主張してほしい。それにしても、外交において互いの信頼の構築は、交渉や対話の前提であるにも関わらず、自らその信頼を突き崩す韓国の行為は、到底、容認することはできない。