労働運動1-オウウェンと児童労働制限
2022.01.28 10:48
イギリスでは早くも1819年に紡績工場法が成立した。産業革命が進んだイギリスでは、労働者の酷使が問題となったが、その中でも児童労働が大きな問題となった。もちろん農業家庭でも児童労働はあった。しかし近代工場では、一日12時間以上も働かされ、身体発達にも影響が生じていた。
この児童労働の制限に大きな役割を果たしたのが、後に「空想的社会主義者」と呼ばれるロバート・オウウェンで、彼は事業家として成功を果たしたが、その際従業員の労働条件改善が、業績を伸ばすことに気づいた。そして自社だけでなく、社会にそれを広めようとした。
彼は、キリスト教人道主義とペスタロッチにも影響され、幼稚園を設立し、小学校、夜間学校もつくった。子供を専門の先生にまかせれば、親は安心して一日中労働できるという考えからである。そして1815年首相リバプール伯爵に、児童労働を制限する法律をつくるよう提案する。
だが1819年に成立した法律は、オーウェンの提案は骨抜きになり、紡績工場だけにとどまり、9歳未満の児童労働が禁止された。9歳から16歳の子供の労働時間は1日12時間となり、休憩も入れ、夜間労働が禁止となった。しかしこの法律では工場監督官がなく、強制力がなかった。