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退屈と惰性と 改

HGAC ガンダムアスクレプオス レビュー

2022.01.30 06:09

 今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードアフターコロニー より、

“HGAC ガンダムアスクレプオス” です。


 “新機動戦記ガンダムW DUAL STORY GーUNIT” より、OZプライズに鹵獲改修されて生まれ変わったガンダムジェミナスの2号機、

“OZー10VMSX ガンダムアスクレプオス” が、

プレミアムバンダイ限定のHGACで発売されました。


 プレバン限定で展開されるGーUNITリメイクシリーズの第4弾(オプション除く)キットですね。

 プレバン限定品も1次予約はほぼほぼ瞬殺される昨今ですが、このアスクレプオスは比較的楽に確保できた印象です。

 なお、同じような境遇のガンダムF90 火星独立ジオン軍仕様・・あちらはMGですが、2022年1月30日現在、まだ1次予約が可能な状態です。

 “大変ご好評をいただいており~” という文言が虚しい・・

 ガンプラといえども、なんでもかんでも標的になるわけではないんだなぁ。


 さて、主人公機と同型の2号機が敵方に鹵獲され、やたらと凶悪な感じに改修されて立ちはだかってくる・・というのはガンダムシリーズではわりとよくある展開でもありますが、アスクレプオスは終盤ほぼそのまま復帰するので、少し毛色が違うところもありますね。

 キットでは、設定通りHGAC ジェミナスをベースに新規パーツを追加した内容になっています。

 それでは、レビューしていきます。

 キットはパチ組みに最低限の墨入れ、付属のシールを貼ったのみです。


高機動モード

 大型のバックパックと肩アーマー、脚部アーマーの追加で基型から大きくシルエットの変わったアスクレプオスの基本形態。 

 ジェミナス同様、オリジナルデザイナーである阿久津潤一氏によるリデザインがなされており、1997年の当時デザインよりもスタイリッシュなプロポーションとなり、各部のディティールも細かく、さらに新規に追加された武装、ギミックが盛り込まれた令和版アスクレプオスとなっています。

 旧キットを持っていた身としてはかなりの驚きがありました。

 こいつ、こんなに格好良かったんだ・・って。

 正面から見るとほぼ真っ白という配色も、もはやヒロイックですらあります。

 もちろん、肩や脚に紫が見えるんですが、濃いブルー(というかティターンズカラー)だった基型から一転した配色になっていますね。

 なお、この高機動モードはハイトルクラスターの性能を最大限発揮できる形態、と説明書には書いてあるのですが、肝心のハイトルクラスターがなんなのか書いてない・・

 おそらく、肩アーマー内部とバックパックに計4基備えたスラスターのことだと思うのですが、片手落ちだなぁ。

 背面は甲羅を背負ったような格好で、正面から見た姿とはかなり雰囲気が違います。

 色的にも今度はほぼ紫一色になってますしね。

 色分けはかなり細かい部分までパーツ分割で再現されていますが、頬の黄色や脛アーマー各部グレーなどはホイルシールによる再現となっています。

 また、ヘビに髑髏を合わせたパーソナルマークなどのマーキング類はテトロンシールで再現されます。


 では、各部を見ていきましょう。

 改修変更された頭部および胸部前面はもちろん新規造形。

 V字アンテナがかなり鋭角になっているのが特徴的ですね。

 あとツインアイの色が黄色から赤に変わってるのもわかりやすい悪役シフト。

 胸部のダクトは内部もすべてパーツでの色分けです。


 肩アーマーは内部にスラスター(これがハイトルクラスターだと思われます)を1基ずつ装備。

 側面のパーツ(バインダーというべきかな? )は可動します。


 脚部には外装兼増槽となるプロペラントレッグタンクを装備。

 スマートだった基型の脚部から、重MSばりにボリュームのある太く逞しい脚部に変貌しています。


 肩アーマー、バックパック、脛アーマーを外して本体のみにした状態がこちら。

 これはこれでシンプルで格好いいです。

 基型からの変更点は頭部、肩、胸部前面とフンドシ、そして膝アーマー。

 足首のアーマーは省かれています。

 バックパックを背負った状態ではほぼ見えない後頭部。

 なかなか複雑な形状になっています。


 基型のパーツはほぼすべて付属しているのですが、胸部前面パーツのみ省かれているので、色違いのジェミナスとして組むことはできません。

 まぁ、言われないと気付かないくらいの違いでしかないですが。

 ロールアウト直後っぽい感じで、これはこれでいい感じ。

 当然、こちらのツインアイやカメラに貼るシールはありません。

 後ろ姿は同じだし。

 あと、GーUNITシールドも表面のパーツのみ省かれていて完成させることができません。

 なんでや?

 コミック版の最終決戦で使用されているらしいのですが・・


 また、新規ランナーに股関節パーツが入っているのですが、

 今回はなぜかこちらは使わず、流用ランナーに含まれるほうのパーツで組み立てることになります。

 これまたなんでや? 不思議な余剰ですね。

 バーンレプオスへの布石ですかね?


付属武装

ビームサーベル

 アスクレプオスのメイン武装。

 デバイスは基型のものをそのまま使用していますが、ビーム刃の色がピンクからオレンジに変わっています。

 オレンジのサーベルって、けっこう珍しい気がする。

 それにしても、ビームの色が変わるのはどういう理屈なんだろう?

 非使用時は肩アーマー(バインダー)の内側にマウントされます。

  ダボの隙間にはめ込んで固定するかたちですが、ちょっとポロリしやすいかも。


ビームライフル

 今回のリデザインで新たに追加された武装。2丁を装備。

 比較的小型のライフルですが、肩アーマーやバックパックなどと衣装を合わせた感じの特殊なデザインになっています。

 なお、保持する際は持ち手の手甲部分を外す必要があります。

 通常は背面、バックパックの下部にマウントされるのですが、この位置、完全にスラスターに干渉してますよね。

 とてもじゃないけど、この状態でハイトルクラスターの性能を最大限発揮できるようには思えないんですが・・


アクセラレートライフル

 基型の基本装備がそのまま付属。

 アスクレプオスでは基本装備というわけではなかったと思いますが、これもコミック版の最終決戦で使用されているようです。

 このライフルは持ち手をバラさず持たせることが可能。

 なお、トリガー部分に指のかかった銃持ち手は右手分のみが付属します。


 スタンドディスプレイの際には股下に専用のアタッチメントパーツを取り付けます。

 これで3㎜軸タイプのスタンドが使用可能。

 ただ、フレームと同じグレー成型で厚みもあるので、なんかオムツ付けてるみたいに見えるのが・・


接近戦モード

 バックパックを頭に被る位置に移動させ、肩アーマーをグローブのように腕に装着した格闘戦重視の形態。

 ジオン軍の水中用MSを彷彿とさせるシルエットになっていますが、もちろんアナザー作品のため関連性はなし。

 ただOZにもキャンサーやパイシーズといった水中用MSは存在しているので、それらを参考にした可能性はあるのかな。

 実際、水中戦が得意ということのようですが・・GーUNITで水中が舞台になったことはあったのだろうか? ずっと宇宙にいるイメージかないけど。


 背面。

 バックパックが頭上に移動したことでメインスラスターが位置こそ高いですが真後ろ方向に露出する格好になっています。

 新規デザインのライフルもマウントパーツごと移動していますし、むしろ高機動モードよりも・・いや、やめておこう(笑)。

 旧キットではもっとずんぐりした・・それこどジオン水泳部的なフォルムで可愛らしかった記憶がありますが、本体のプロポーション向上の影響(?)でこの形態、もかなりスタイリッシュな方向にアレンジされています。

 ぐっと縦に引き伸ばされた感じ。

 しかし、新たに脚部アーマーの変形ギミックが追加されたことでオリジナルのデザインよりも高機動モードとの差別化が鮮明になり、モンスター感はよりました印象です。


 変形過程は以下の通り。

 まず、肩アーマーを横向きに展開します。

 そのまま前腕を挟むようなかたちでバインダーを閉じます。

 前腕とアーマーはとくに固定はされません。

 ちなみに、高機動モードでは肩のスリットにアーマー内側のダボをはめ込むことで一応固定はされますが、

アームのテンションもあってわりと外れやすいです。

 そのアーム・・肩とアーマーとを繋ぐ蛇腹状のアームパーツはリード線を通すことで緩く繋がっている状態で、リード線に余裕を持たせることである程度腕部の動きに追随できるようになっています。

 ただ、リード線の端の処理がただ折り込むだけという雑なもので、見ためはあまりよろしくありません。

 最後は貼り合わせのパーツにしてリード線の端を見えないようにするか、なんならリード線なんか使わずにアームパーツは普通にボールジョイント接続でよかった気もします。

 ともあれ、腕部の変形は以上。

 続いてバックパックですが、まず本体の頭部を取り外します。

 それから、バックパックの先端部分を引き出しつつ全体を前方に移動させます。

 側面の接近戦モード時に肩アーマーとなるパーツを横向きに開き、

先端パーツを胸部に被せるように下ろします。

 ここもとくに固定はされません。

 最後にビームライフルおよびマウントパーツを下ろしてこのフェーズは完了。

 しかしここの変形、設定上はどうなっているんでしょう?

  明らかにこのスペースに本体の頭部は収まりませんよね。胴体側にめり込んだりするんだろうか?


 最後に脚部。

 今回のHGAC化に伴い新たに追加された設定です。

 まず側面の装甲パーツを外し、続いて足の甲部分の白いパーツを動かして足首周りのパーツ全体を下ろします。

 外した装甲パーツは、後部パーツの取り付け位置を変更(赤矢印から青矢へ)し、

前後(上下)を引っ繰り返して脛に再装着。

 これにて変形の全行程完了です。


 接近戦モード時のメインカメラは四角形。

 ここはリーオーから連なるOZ系MSだな、と思います。

 なお、頭頂部分はレドームユニットになっており、アクティブジャマーや全方位アクティブスキャナーといった機能を有しています。


武装

パイソンクロー & ラピッドショット 

 腕部に装着することで大型の格闘戦用クロー(超振動素子ブレード)になった肩アーマー。

 しかし、大蛇(パイソン)の爪(クロー)とはこれ如何に?(笑)

 クローの先端はそれぞれ可動しますが、根元が動かないのであまり大きく動かすことはできません。

 中央部にはラピッドショットと呼ばれるビームバルカンが2門装備されています。


比較画像

 基型となるジェミナス2号機と。

 本体部分はほとんど変わっていないのですが、追加装備によってシルエットが大きく変わっています。最初にも言いましたけどね。

 頭部はトサカが大型化していますが、頭頂高はほぼ変わらず。

 アスクレプオス自体にはジェミナスのアイデンティティともいえる換装システムは取り入れられていないはずですが、そのおかげで比較的改修が容易だったのかもしれませんね。

 もちろんキットではいろいろと組み替えも可能です。


 アスクレプオスを接近戦モードにして。

 こうなると一見しただけではもともと同じ機体だったとは思えませんね。


 アスクレプオスを本体だけにしてみて。

 頭部と胸部が変更されているだけでもなんとなく強化された感はあります。

以下、画像

 まず高機動モードで。

 本体はジェミナスそのままなので、可動性は良好。

 本体の可動について詳しくは以下のジェミナス1号機のレビューをご参照ください。

 サーベルの二刀流で。

 大型の追加装備のせいである程度可動が制限されるかとも思いましたが、案外気になりませんでした。

 まぁ、足首の可動のみ少々窮屈になるので、接地性は若干犠牲になる感じですが。

 でも自立はとくに問題なし。


 アクセラレートライフルも持たせて。

 肩アーマーの重みのせいで、腕部は少々へたりやすいです。


 ライフル二丁持ちで。

 新規にライフル2丁追加するなら、左の銃持ち手も追加してほしかったですねぇ。

 また。その新規のライフル・・というかマウントパーツは3㎜軸接続なので外すことも可能。

 これでようやくハイトルクラスターの性能が。


 片腕だけパイソンクロー形態にしても。

 こうなると先端が重くなるので、より腕部がへたりやすく・・

 なお、左手のみ平手が付属します。


 接近戦モードで。

 基本的な可動性は高機動モードからそう大きく変わりません。まぁ、腕部の可動は制限されますし、脚部も外装の変形で足首の柔軟性はさらに損なわれることになりますが、むしろ接地面積は広がるので自立は問題なし。

 もちろん立て膝も可能です。


 接近戦モードでは手が塞がっているのでライフルを持たせることはできません(そのためにラピッドショットがある)が、背部のビームライフルのマウント向きを変えて持ち上げると・・

 ギリ頭部を掠める感じで撃てそう(笑)。


 VSジェミナス1号機。

 鹵獲改修直後はOZプライスの星屑の三騎士(スターダストナイツ)のリーダー格、ロッシェ・ナトゥーノが搭乗することになりますが、その後は仮面のパイロット、シルヴァ・クラウンが搭乗。

 しかし、シルヴァの正体は主人公、アディン・バーネットの兄、オデルで、彼はある目的のためにOZプライズに潜入したみたいなことで、最終的に弟たちの下に戻り、このアスクレプオスで共闘することになります。

 脱出の際に破壊された頭部は1号機のものに交換され、アクセラレートライフルとGーUNITシールドを装備して最終決戦に臨む・・ということで、1号機から頭部とシールドを拝借しての最終決戦形態を再現。

 本当、なんでシールドの表面、わずか2パーツを削ったのか・・


 以上、“HGAC ガンダムアスクレプオス” でした。


 いわゆるゲテモノガンダムの類いですね。

 旧キットの記憶もあったのでもっとごつい、鈍重なイメージがあったのですが、今回のHGAC版は接近戦モード含め、非常にスタイリッシュな姿に生まれ変わっていました。

 当初は違和感もあったのですが、最終的に味方として帰ってくる主人公の兄の機体ということを考えると、このようなアレンジも頷けるのかな。

 そもそもオリジナルデザイナーによるリデザインですから、今はこれが正解なのです。

 プロポーションや細部のディティールアップだけでなく、脚部パーツの新解釈や新規武装の追加など、今後のシリーズ展開にもなにかしらのサプライズが期待できる内容になっていたと思います。

 ただ、キット本体は非常に出来のよいジェミナスなので不安はなかったものの、新規パーツ・・肩とアーマー(パイソンクロー)を繋ぐアームパーツの構成は個人的に残念に感じました。

 あとやはりパイソンクロー内への腕部収納、接近戦モード時の正面胸部パーツなどはしっかり固定できるようにしてほしかったかなぁ。

 しかし、どれも欠点と言えるほどのことでもなし、なによりズゴックを彷彿とさせる異形に変形できるガンダムがこの令和の時代に復活してくれたことは嬉しい限りです。


 さてGーUNITシリーズ、次はLOブースターか? それとも残り2体のスターダストナイツのどちらかか? それとも大穴でヴァイエイト・シュイヴァン & メリクリウス・シュイヴァンか?

 理想を言うと、新作の発売前後に次の発表、予約開始となってほしいんですけどねぇ。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。