「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 いよいよ源頼朝の挙兵というときの「女の浅知恵」を演じる新垣結衣
「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 いよいよ源頼朝の挙兵というときの「女の浅知恵」を演じる新垣結衣
毎週水曜日は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について感じたことを書いている。毎回書いているのでお分かりと思うが、私は歴史小説家として、この時代の小説は書いていない。そのために、この時代の内容を解説するというよりは、やはり、この時代の内容を味わいながら、それをドラマ(物語)としてうまく展開している内容について、その物語性を語ってゆきたいと思う。
さて、今回は「頼朝挙兵」である。もともと以仁王の令旨をうけ以仁王とともに挙兵ををして平清盛を打ち滅ぼすということであったが、その令旨には従わなかった。しかし、以仁王と源頼政の挙兵によって関東の感覚も変わる。特に、源頼政が国守であった伊豆国は、一気に平家の支配の傾き、頼朝はそこにいることそのものがリスクとなってくる。
そこで挙兵をするのが治承4年(1180年)8月17日(新暦で言うと9月8日)である。三島大社の祭礼の日であり、その日にまず手始めに伊豆目代の山木兼隆を討つことを目指した。少し先取りになるが、この時に山木兼隆と、兼隆の後見役の堤信遠打ち取る。このおt気になかなか勝敗が付かないので焦燥した頼朝は警護に残っていた加藤景廉、佐々木盛綱、堀親家を山木館へ向かわせる。特に景廉には長刀を与え、これで兼隆の首を取り持参せよと命じた。景廉、盛綱は山木館に乗り込み、遂に兼隆を討ち取った。
佐々木兄弟は信遠の館に向かい、子の刻に経高が館に矢を放った。『吾妻鏡』はこれを「源家が平家を征する最前の一箭なり」と記している。また、二人の首実検をしたのちの19日に頼朝は兼隆の親戚の史大夫知親の伊豆国蒲屋御廚での非法を停止させる命令を発給した。『吾妻鏡』はこれを「関東御施政の始まりである」と特記している。
しかし、当然にそのような行動を今までの兵士が認めるはずがなく、平家方の大庭景親が俣野景久、渋谷重国、海老名季貞、熊谷直実ら3000余騎が頼朝討伐の兵をあげる。これが、石橋山の戦いである。この石橋山の戦いに関しては、次回の物語になる。
『鎌倉殿の13人』矢文を放つ“八重”新垣結衣にネット興奮「鳥肌立った」「惚れた」
俳優の小栗旬が主演を務める大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合ほか)第4回「矢のゆくえ」が放送され、八重(新垣結衣)が矢文を放つ姿が描かれると、ネット上には「鳥肌立った」「惚れた」といった反響が巻き起こった。
大河ドラマ第61作となる本作は、平安時代末期、伊豆弱小豪族の次男坊の出身でありながら、源頼朝と北条政子の結婚をきっかけに運命の歯車が回り始めた北条義時の半生を描く。脚本は三谷幸喜。
治承4年(1180)8月、ついに挙兵を決断した源頼朝(大泉洋)の一党は、平家の家人で伊豆国の目代・山木兼隆(木原勝利)を討って初戦を飾るべく戦支度を開始。戦の日に備えて北条義時(小栗旬)は兵を集めるために奔走する。頼朝や北条家の慌ただしい気配を感じ取ったのは、対岸で暮らす頼朝の元妻・八重。彼女は、平家に仕える父・伊東祐親(浅野和之)に、頼朝と北条家が戦支度をしていることを伝える。
義時たちは祭りの日に山木の館へ向かい首を獲る計画を立てる。しかし、その日に山木が確実に館にいるのかが掴めず、さらに兵が思うように集まらないことから頼朝は挙兵を渋りはじめる。
そんなある日、八重は祭りの日に山木が館にいるという情報を掴む。八重は悩みながらも長弓を持つと、頼朝に伝わるように白い布を結びつけた弓を対岸の北条家の屋敷へと放つのだった。
八重が真剣な表情で矢文を放つ姿が描かれると、ネット上には「かっけえええええ!」「八重殿カッコ良すぎる!」「カッコ良さに震えた」「八重さん大活躍じゃん。鳥肌立ったわ」などの声が殺到。さらに「八重様凛々しい」「弓を引く八重の美しいこと」「惚れた」「弓を射る姿が、凛々しくて素敵」といったコメントも相次いでいた。
2022/1/30 クランクイン
https://www.crank-in.net/news/99963/1
史実というか「吾妻鏡」には上記のような流れが書かれている。当然に「吾妻鏡」は源頼朝と鎌倉幕府の正当性を各目的があるので、当然にこの時代の事であっても源頼朝というか、鎌倉幕府に都合よく書かれている。解釈などもすべて後の時代から見ての解釈になるので、その点は注意が必要であろう。そのうえで、この内容を史実として解釈することになっているのである。
さて、これを物語にするとどうなるのであろうか。
現代では「女の浅知恵」などということを言えば、一発で「ジェンダーハラスメント」というようなことになるのであろうが、時代劇的な観点から言えば、当然に、昭和初期くらいまで、場合によっては昭和30年代くらいまで男尊女卑的な考え方があり、また男性の考え方と、女性の考え方は「社会」を中心にするか「家内」を中心にするかという基準の違いがあって、その考え方は全く違うということになる。
さて、物語は「頼朝が挙兵する」ということを中心に物語がすすむ。その上で、そのことを「信用するかしないか」ということになり、信用する北条宗時(片岡愛之助)と、それを信じない大庭景親(國村隼)などというような感じになるが、その時に、北条義時(小栗旬)の初恋の相手であった八重(新垣結衣)が、義時から聞いた情報をもとに、挙兵を知らせる。
そのことで大庭景親などはそれに対応した軍備を整えるということになる。まさに、この後の対立の「芽」を作ったのが八重ということになる。その八重は「愛しい源頼朝(大泉洋)の命を救うために、挙兵を事前にやめさせるために、対立する相手である自分の父に話をするということにあるのであるが、それを小栗旬に言われて後悔するという展開になろう。
要するに「源頼朝を助けるつもりで敗戦の原因を作り、そしてそれを後悔する」ということであり、自らの「助けるつもり」つまり「女性特有の平家や源氏というような大きな流れを見ない考え=浅知恵を悔いる」ということになる。このことが、この後に八重を苦しめることになるのであろうし、また、そのことが大きな物語を生むことになる。
あえて「ジェンダー」にかかわらずに「浅知恵」を各あたりが三谷幸喜らしい内容ではないか。この後に、源頼朝が石橋山の戦いで敗戦する(これはまだ描かれていないが)という史実から、最も前半の頼朝復帰までの「悲劇のヒロイン」を演じ、それでも「一生懸命源頼朝のためを思い、全力を尽くす」姿の美しくも儚い姿を演じているのは見事である。
ある意味で『曽我物語』や軍記物語の『源平闘諍録』のみしか書かれていない「謎の女性」をしっかりとうまく活躍させ、物語の「ジョーカー」的な動きをさせる。当時の女性の「歴史書に書かれていない」姿をうまく書いたのではないか。そしてその「書かれていない女性の活躍」が男たちの運命を翻弄する。主人である北条時政を信用し全く動かなかった牧の方(宮沢りえ)、何か動こうとしていながら、牧の方にたしなめられて、動いてしまうので一時的な別居を決める北条政子(小池栄子)、そして動いて好きな人を窮地に追い込んでしまう八重、この女性の三者三様がなかなか興味深い。、