岩屋寺大師堂
久万高原町にある、四国八十八箇所の第四十五番札所 岩屋寺。周辺には穴だらけの岩の峰が連なる名勝・古岩屋を含め、たくさんの見所があるお寺ですが、建築の見所としては「大師堂」が挙げられます。
その大師堂や本堂までは、駐車場に車をとめて山道を上る必要があります。
ちょうど改修中の写真しかありませんが、こちらが大師堂です。大師堂は1920年(大正9年)に建立され、愛媛県では大正期の建築としては初めて、2007年に国の重要文化財に指定されています。この大師堂も一見しただけでは普通のお寺の建物のように見えるかもしれませんが・・・・・・
お寺にありながら、西洋の建築を意識したデザインになっているのがこの大師堂のデザインの特徴であり、面白いところです。
例えばこの正面の柱をよく見ると、中央が膨らんでおり、古代ギリシャ発祥の技法であるエンタシスが用いられていることが分かります。下の方には溝が掘られていますが、これもフルーティングというギリシア建築の柱に用いられる溝を思わせます。柱は左右に2本ずつ並べられていますが、列柱を思わせるような配置を意図したのでしょうか。
柱頭にあるのは、なんとたくさんの薔薇の花。
そのほかにも、日本でも中国でもインドでもないような、国籍不明な不思議な装飾がたくさんちりばめられています。
設計を行ったのは愛媛出身の河口庄一。大蔵省営繕管財局技手で、国会議事堂の計画にも参画したそうです。大工は窪田文治郎。松山の浄土寺の仁王門や繁多寺、日尾八幡神社の建物も手がけた、社寺建築の棟梁として知られています。
こちらは本堂。
岩壁との取り合いにもびっくり。大師堂以外にもたくさんの見どころがあるお寺です。
岩屋寺大師堂
■設計:河口庄一、大工:窪田文治郎
■竣工:1920年(大正9年)
■所在地: 愛媛県上浮穴郡久万高原町七鳥1468
■構造:木造