映画『フレンチ・ディスパッチ』レビュー。
昨年から楽しみにしていたウェス・アンダーソン監督の『フレンチディスパッチ』が1/28~公開になりましたので、一番空いている時間帯を予約し、TOHOシネマズ六本木ヒルズへ。前後左右いなくて、3割くらいの入りでした。
ウェス・アンダーソン監督作品は、英会話の先生が大ファンということで、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』をはじめに教えてもらいました。その後、『ムーンライズ・キングダム』『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』と経て、私にとっては5作品目です。今回の作品で、ウェス・アンダーソン監督10作品目になるそうなので、半分は観たというところで、ウェスワールドに私もじわじわとはまってきたようです。(笑)
物語の舞台は、1975年のアメリカ中西部の架空の新聞社。その中に別冊の『ザ・フレンチ・ディスパッチ』という雑誌があり、創刊者で編集長のアーサー・ハウイッツァー・Jr.が急死したことで、彼の遺言どおりに雑誌を廃刊することが決まるところから始まります。その最終号の記事内容が、4つのエピソードに分けられ、オムニバス的な流れで描かれています。
つまり、1つの映画の中に4つのストーリーがあるという贅沢なつくり。それぞれのストーリーには主役が必要ですから、必然的に大物キャストが勢ぞろい! しかも、ちょい役でも大物がでているので、それを見つけるのもまた楽しいです!
雑誌というものは、カルチャー、ファッション、旅、料理など、いろいろなカテゴリーで構成されているので、それぞれの記者が取材、体験してきたことをそのまま観ている感じになっています。4つも物語があるので、内容を完全に理解することはちょっと難しいと思います。オムニバス3話目は、フランス語と英語で会話がなされているので、英語とフランス語が翻訳されており、カオスです。むしろ、内容はどうでもいいのかもしれません。(笑)
4つのストーリですから、主役級の登場人物がたくさんいるほかにも、囚人や学生や兵士や、とにかくすごい人数で、もちろんコロナ禍前に撮影されたものでしょうが、ほんとカオスなんです。(笑)
しかも、白黒になったりカラーになったりもします。突然アニメーションまで入ってきて、てんこ盛りで笑いが止まりません。www
絵描きの囚人とヌードになっている監視官。中年女性の記者(フランシス・マグドーマンド)と学生運動の若いリーダー(ティモシーシャラメ)が、一つのベッドの上に居るなんて、普通の映画だったらあり得ない! このシュールな対比こそがウェス・アンダーソン監督!
どのシーンも作り込みが素晴らしく、それがたった1秒のカットだけになっていたりもするので、1回観ただけでは申し訳ないような気もします。
物語の内容理解はざっくりという感じだったのに、最後はグッとくるような、不思議なカタルシスがありました。
絵画のような作品ですので、アート好きな人々は感銘を受けるに違いありません! また豪華俳優陣すぎて、映画ファンにはたまらないですね~。もう1回以上観たいです。
いろいろとプロダクションノート的な動画もありましたので、リンク貼っておきます!
ウエス作品のなかで、一番好きかもと思いました。いろいろカオスになっているわりに、全体的に不思議な均衡が取れているんですよね。唯一無二のアート作品。次元が違うウエスユニバースを存分に味わいました。