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超人ザオタル(53)概念を超える

2022.02.02 00:46

「草原の清々しい朝の輝きは確かに価値がある。

だが、その輝きは何処から起こったのだろうか。

それを感じているのは誰なのだろうか。

移り変わっていく景色と感覚。


それを創造し包括しているものは何なのだろうか。

もちろん、それを知らなくても朝の輝きを楽しむことはできる。

ただ、その楽しみに埋もれてしまえば、道を失ったことになる。

そこには朝の輝きだけでない何かがあるのだ。


それを無視していては、それこそ何も起こらない。

それを感じているのは誰なのか。

それは自分だ。

それでは、その自分とは誰なのか。


その自分が分からなければ、朝の輝きはそこで価値を失うのだ。

この世界の感覚を突き破って、それを超えていく必要がある。

それが道を行くということなのだ」

タロマティは話を聞きながら黙って目を伏せていた。


そうして静かに私の言葉を噛み締めているようだった。

タロマティもまた道を行く者なのだ。

このことがまったく理解できないわけではない。

ただ、自分の概念という殻を内側から壊さなければならない。


そうして自力でもって道を開いていくのだ。

「ありがとう、ザオタル。

何かつかみかけてきた気がします」

タロマティはそう言うと微笑んで立ち上がった。


そしてそのまま部屋を出ていった。

「タロマティは何か分かったのでしょうか、ザオタル」

そこに残されたアルマティが少し不安げに言った。

「それは私にも分からないよ、アルマティ。


何かを分かろうと分かるまいとその道を行くことだ。

そうして歩いていくことしか、私たちにできることはないのだから」

「私も何かつかみかけた気がします。

それが何か、まだはっきりとしませんが。


私は世界の経験による概念を元にして静寂を理解しようとしました。

でも、それだといままでの概念から出たことにはなりません。

つまり、それは無意味で価値がないという結論になってしまう。

もし私の概念を超えられるのなら、静寂もまた違った意味を持つ気がします」