オンライン診療で獣医療の幅を広げ動物病院の業務効率化を叶えたい Vol.2
【 QAL startups流 新規事業の作り方 #3 】
ゲスト
・浅沼 直之(株式会社みるペット代表取締役社長)
・石川 直人(株式会社みるペット取締役)
■動物病院の運営における遠隔診療とDXの今後
生田目: みるペットさんが先陣を切ってオンライン診療を推進している一方で、動物病院ではまだまだ遠隔診療やDXは一般的ではありません。この先どのようになっていくのでしょうか。
浅沼: おっしゃるとおり、動物病院のDX化はまだまだという印象です。人の一般的なクリニックと比べても電子カルテの普及率もかなり低い状態です。これを変えていくためには、私は動物病院を経営という観点で見ていくことが大事だと思います。DX化だけを見るのではなくて、残業をどう減らしていくのかなどのオペレーションの改善を考えた時にデジタルツールの活用を検討するのです。その中のひとつとして、オンライン診療であればみるペットを取り入れていただきたい。業界全体でも、まずはオーナーが経営や業務効率を意識することでDX化を目指せるでしょう。そのような意識が高まることで、業界にどんどん良いシステムが入ってくると思います。
生田目: 電子カルテは早く普及してほしいですね。手書きのカルテより電子カルテのほうが過去の情報が検索しやすく、同じような状態の症例を参考にできます。それにより、飼い主の満足度も上がると思います。みるペットはDXの観点で見ると、どのように活用できますか?
浅沼: 動物病院への不満項目に「待ち時間が長い」というのがありますが、みるペットであればそれを改善できます。一定の人がオンライン診療に流れることで、現場に足を運ぶ人も減り、現場の待ち時間も減るからです。また、会計の作成や薬の調剤もオンライン診療の方には後ほどお知らせするようにすれば、院内の比較的落ち着いている時間を使って対応できます。
石川: 他にも収益面も今まで無料で相談していたことをオンライン相談にすることで有料化できるので、向上すると思います。
生田目: 開業されている先生は地域密着でやっているので、難しい面も多いですよね。たとえば電話で気軽に相談されてしまったら無料でやらざるを得なくなってしまいます。
浅沼: そこでオンラインを使うことで、今まで無料でやってしまっていたことを正式なサービスとすることができます。サービスとしてしっかり相談に乗るので診療報酬が発生します。
生田目: オンライン診療は往診に似ているかもしれません。単純に家から出て病院へ行くのが面倒という人にピッタリです。動物で言えば、今日は車がなくて外出できない、ペットが大型犬なのでなかなか連れていけないなどの、様々なケースで対応できますね。
浅沼: そうですね。そこを入り口にして、徐々にオンラインのほうが適している症例をピックアップしていきたいと思います。
生田目: このサービスは医療の幅を広げるものなんですね。もちろん動物医療の本質は変わらずに、提供方法のバリエーションを広げるものになりそうです。やむを得ない理由があり行けない人にも対応できるような選択肢を持つ病院が、これから増えるのではないでしょうか。DX化により医療品質が高まることを期待します。