Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

とある冒険者の手記

A.甘い時間

2022.02.03 02:20

義姉のガウラがサベネア島に出発して数日が経った。

ヘリオとの再会後、アリスは離れていた期間が長すぎたせいか、毎晩寝る前にキスの雨を止めることが出来なくなっていた。


「んっ…ふっ…はぁっ」

「ヘリオ…好き…」


容赦なくキスを繰り返され、さすがに勘弁願いたいと思うヘリオは、アリスの口を手で塞いだ。


「あ、あんた、再会してから毎日これは流石に勘弁してくれ…」

「あ…ごめん…」


明らかにションボリするアリス。

確かにやり過ぎ感はあるものの、気持ちが暴走していて、抑えられずにいた。

お預けを食らった子犬の様な表情のアリスに、ヘリオは大きな溜め息を吐くと、アリスに問うた。


「……どうしたら、あんたは満足するんだ……?」

「え…?」


予想外の言葉に、キョトンとする。


「満足出来ないから…その…毎日するんだろ…?」

「満足と言うか…気持ちが治まらないというか…」


考えるように答え、「あ、でも!」と思いついたように声を上げた。


「ヘリオからキスしてくれたら治まるかも!」

「…………………は?」


露骨に呆れた声が出るヘリオ。

その反応に、アリスは内心焦った。


「じ…冗談だよ冗談!あはははっ!」

「………………」


乾いた笑いを上げながら弁解する。

すると、おもむろに胸ぐらを捕まれ、アリスの顔から血の気が引いた。


「ご、ごめん!言っていい冗談と悪い冗談があるよな!だから、怒らないd………んんっ!?」


突然のことに目を見開く。

目の前には眉間に皺を寄せ、頬紅くしながら目を閉じているヘリオの顔が近くにある。

唇には柔らかい感触。

その感触が離れると同時に、胸をグッと押された。


「……満足したか?」


顔を赤面させたままアリスを睨みつけ、袖で口を拭いながら言い放つヘリオ。

キスをされたと理解した瞬間、アリスの顔が沸騰するんじゃないかと思うほど熱を持つ。

そのままヘリオの肩口に顔を埋め、アリスは弱々しく答えた。


「………大満足デス………」

「……ふんっ」


顔だけそっぽを向くヘリオ。

アリスはそのままヘリオを抱きしめた。


「ヘリオ…好き……大好き……」

「…知ってる」

「………愛してる……」


滅多にされないヘリオからのキスで満足したのか、次の日からはいつも通りのスキンシップに戻ったアリス。

それは、つかの間の甘い時間だった。