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渋谷昌孝(Masataka shibuya)

壁ー衝突ー存在「三位一体」

2022.02.03 13:46
ある観念が頭のなかに未完のまま熟そうとしているのだが半熟である。テーマは抵抗あるいは壁についてであるが主体がここにあるのではなく、補助的なものとして主体を明るみにするのに必須であるという意味で重要になる。ときどき思考実験を試みるのであるが、これも思考実験的なものである。どこから始めたらいいか。唐突に空中に概念を開陳してみたところで誤解を招くだけである。しかし概念は宙ぶらりんに浮かんでいる。いまここで抵抗と壁がない言語空間または意味空間というものを想定してみる。この空間を去来するものは、どこまでも終着点がなく素通りするのみで有形のものはない。なにかがあると言えるためには、抵抗を受けるか壁に衝突するかしなければならない。一方的に突き抜けるだけでは存在が確認できない。抵抗とか壁とかいう言葉は比喩的なもので特別な意味はない。

まだ正体の明瞭ではない、これから発見されるべき対象があるとする。そしてこの対象が一定の方向性をもって動いているものとする。この対象はこれから発見されるべきものであるからまだ覆いを纏っている状態である。この覆いが何らかの契機により剥ぎ取られるとき対象は対象として顕現するだろう。このとき初めて意味と想定されていたものが本来の意味を獲得したり、予想されていた存在が実在的な存在としてようやく認められる。

想定されていた対象はどのようにして、自らの覆いを剥ぎ取るのだろうか。ここで覆いを取らないままでいる対象(すなわち無い対象)とはどのようなものかを考える。ここで抵抗あるいは壁という概念を導入したい。動いている対象は言語空間や意味空間というべき仮の世界にある。覆いを纏ったまま隠されながら、存在を確認されないいまま存在しているものとする(つまり現実的には存在していないというあり方で存在している)。

このような対象の存在の仕方のおいて(隠された対象を仮に見えるという仕方において)、抵抗あるいは壁という概念を、これを無かったものと仮定してみよう。思い浮かべてほしいのは、例えば浮遊する布で覆われたドローンである。ドローンは覆いを被されているのであってこの覆いがあるため眼にはみえない。だが壁に衝突すれば覆いは剥ぎ取られるかも知れない。抵抗という概念をつかうならば風によって覆いを飛ばされる。いずれにしても抵抗とか壁がない限りドローンの存在は露呈されることはない。

逆にいうならば、抵抗と壁があるからこそ隠されていた対象が現れたのである。ということは、対象(存在)の顕現と抵抗あるいは壁は切り離すことはできないのではないだろうか。隠蔽された意味(これから発見されるべき意味)はそのままではどこまで行っても隠蔽された意味に過ぎず、それはすなわち意味のないことを意味する。意味が発見され確認されなければ、意味は意味となることができない。ここまでの説明で何がわかったのか。対象(存在)と比喩的な意味での抵抗(壁)の必然的な癒着関係である。何らかの衝突なくして存在が顕現することはできないが、この衝突がおこるために抵抗(壁)なるものがなければならない。

(メモ)


①存在


②存在が浮きでるための衝突


③壁なるもの


①〜②〜③の親密な関係


衝突がないとき存在はどこまでも素通りする未存在であり、素通りしているという事実さえ確認不可能になってしまう。