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「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 石橋山の合戦と「兄」北条宗時の「暗殺」の描写の妙

2022.02.08 22:00

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 石橋山の合戦と「兄」北条宗時の「暗殺」の描写の妙


 水曜日は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」についてお話をしている。純粋に見ていて面白いという感じではないだろうか。実際に、1年間で源頼朝ではなく、北条義時の一生を描くということになると、西暦1221年の承久の乱まで書かなければならない。史実によれば、承久の乱の後義時は静かに息を引き取るということになっているから、鎌倉幕府における北条得宗家の礎を築いて亡くなったということになろう。そのように考えれば、平家が亡ぶのは6月から遅くとも夏までということになり、後半は、義経との戦い、頼朝の死、頼家の暗殺、実朝暗殺と源氏が滅び、鎌倉幕府そのものの運営にかかわる主導権争いになり、梶原、畠山、比企、和田、そして父である北条時政と牧の方(役名ではりく)が反乱を起こす。

 北条義時は、鎌倉幕府を守るため、今回のドラマの中では兄北条宗時(片岡愛之助)が語った「坂東武者の世を作り、その頂点に北条家が君臨する」という兄との約束を守り、北条家を守るために、必死に北条家を守り、これらの困難をすべて排除するということになる。そして、その後に、承久の乱である。まずは平家・次に源氏・豪族・そして最後に朝廷というような形で生涯を排除し、礎を築いた一生であるから、大変であろう。源頼朝や義経を書くよりもかなり大変なのである。このように書けば、今回の大河ドラマが、否が応でもテンポよく進めなければならないということがわる。

 今回の13人の御家人は大江広元(政所別当)、三善康信(問注所執事)、中原親義(幕府外交官)北条時政(頼家の外祖父)、北条義時(時政の次男)、三浦義澄(頼朝挙兵以来の忠臣)、和田義盛(侍所の別当),比企能員(頼家の妻・若狭局の父)、梶原景時(侍所の所司)、八田知家(下野の豪族)、安達盛長(頼朝時代からの忠臣)、足立遠元(武蔵の豪族)、二階堂行政(頼朝時代の側近)であり、この中で5人が欄を起こすのであるから、なかなか大変な話なのである。

 ドラマとしてはなぜ乱を起こさなければならなかったのかを「史実」ではなく「わかりやすく」書かなければならない。その工夫の中に様々な伏線が入れられているところが面白いのである。

「鎌倉殿の13人」北条宗時・片岡愛之助がメインキャラで最速“卒業” 奔放な人物演じきった

 小栗旬(39)が北条義時を演じるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)の第5話「兄との約束」が6日に放送され、片岡愛之助(49)演じる義時の兄、北条宗時が亡くなった。メインキャラクターでは最も早い“卒業”となった愛之助が、同局を通じコメントを寄せた。

 第5話で山木兼隆を討った源頼朝(大泉洋)の軍勢だったが、これが平家方の怒りを買い、伊東祐親(浅野和之)、大庭景親(國村隼)らに追われる展開に。頼朝軍は石橋山の戦いで大敗する。

 軍を立て直すため、宗時と義時は別行動を取る。兄弟にとって最後の会話となるが、義時とのラストシーンについて愛之助は「我々は台本を読んでそのこと(別れ)を知っていますが、本当の宗時と義時はそんなことを知らない。だから“今生の別れ”という演技ではなく、坂東武者の世を作りたいという本心を義時に打ち明けて、『よし、行ってくる!』というふうに演じています。最後に歩いて去る時にいろいろなことを思いそうになりましたが、集中して、『行ってくる!』という気持ちで勤め上げました」と振り返る。

 高い理想を掲げる一方、不都合の帳尻合わせを義時に押しつけるなど、奔放なキャラクターをコミカルに演じた。愛之助は「坂東武者の世を目指すというのはすごくハードルが高いと思うんですけれども、やはり大志を抱くというのはいいことだと思います。だからこういう思いで突き進んだ宗時という人は本当にすてきだと思います。自分も実際に宗時の立場だったら、そうしたかもしれません」とコメントした。

[2022年2月6日21時1分] 日刊スポーツ

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202202060000640.html

 他のドラマと異なり、大河ドラマの場合、歴史が題材になっているから、先が見えている。この先に何があるかは、歴史を調べればよくわかるのである。実際に、石橋山の戦いで北条宗時が死ぬことは、事実として存在する。一応、史実としては北条時政・義時と別行動をとり、500の兵に囲まれて壮絶な討ち死にをすることになっている。父と源頼朝を逃がすために別行動で陽動作戦を行った、または武田信義(甲斐源氏:八島智人)に救援を求めに行ったなど、様々な解釈があるが、ここで別行動をとった理由は詳しくはわかっていない。

 この「詳しくわかっていない」ということは、小説家や脚本家にしてみれば「自由にしてよい」ということを言われているのと同じなのである。ここの解釈や、この部分に持ってゆくための伏線の作り方が、話の店舗の中に埋没していないところが三谷幸喜氏の素晴らしいところであろう。

 そもそも、八重(新垣結衣)の子供が善児(梶原善:多分架空人物)によって川で殺されるという第1話がある。この時代、川で殺すことが最も処理が楽であったのであろうし、また、山の中のように発見されないということが少なかったのであろう。単純に、「暗殺」というのは発見されないと意味がない。生きているというような噂が立ってしまっては、困るのである。そのように考えれば、川という人目につくところで殺すということが最も良い殺害方法であろう。

 そして今回、北条宗時が川に行って、後ろから刺されて絶命する。その前に、伊東家が大庭家と源頼朝を挟み撃ちにするという情報をもって八重が源頼朝に知らせに行くが時すでに遅し。つまり、「八重」が絡み、「善児」が出てきて「川」が出ると暗殺につながるという方程式になる。ある意味で源頼朝の親しい、大事にしたい人である八重の子千鶴丸と、自分を支持してくれた北条宗時が、同じ殺され方で死んでゆくということが、後に、伊東祐親や大庭景親への復讐ということにつながることになろう。

 そして、上記にも書いたが、その兄宗時の夢である「坂東武者の世を作る、っして北条が君臨する」ということが後の義時(小栗旬)の行動の大きな指針となるのである。それを理解している人と理解していない人が、今後の運命の分かれ道になる。まさに兄の言葉が「今後の北条家を左右する伏線」になるということになろう。一年を通じて様々な合戦がある中で、私の見立て、あまり合戦場面を書かない三谷氏が、これはと思って書いた合戦に、大きな伏線を潜り込ませる。そのことを1年を通じて面白く見ることが大河ドラマの面白さの一つなのではないだろうか。