絵本『ええことするのは ええもんや!』
絵本は子供にとって多くのことを学ぶ機会を与えてくれるものですが、同時に読み手の大人にとっても深く考えさせてくれ作品も多くあります。今回取上げる作品はボランティアとは何かを子供の心情に添って丁寧に書き上げられた作品で内容で、親としてどう子育てに取り入れていくのかを読み解くことができます。是非とも一読あれ。
主人公のマナブが帰り道電動車いすが動かなくなった伯父さんに出会い、何気なく声を掛けるところから物語がが始ります。「おっちゃん、なにやってんの?」
主人公のマナブのように人や周りの状況から『どうしたんだろう?』と気付くことができ、躊躇せずに声を掛けることができるベースがあることに生きる力を感じます。子供の安全を守る観点から知らない人に声を掛けられても対応してはならないと教えられている昨今、子供自身から知らない人へ声を掛けることは難しいことです。困っていると感じても声を掛けられない状況にあるのではないかと思います。絵本のような場面に遭遇したら我が子はどのような対応をするだろうか?、そして子供に親としてどう伝えるかを想像してみてください。
主人公のマナブは困っている人を助ける純粋な気持ちで行動していただけなのですが、同級生に指摘されそれがボランティアであるということ、ええことをしていること、立派で尊敬されるに値する行動であることを意識してしまします。その場所に困っていた人がいるから何の計算もなく動いてはずなのに、第三者を意識しだすと評価を気にし出す人間の性が小学生でも芽生えてしまします。これは人間として誕生したのならば致し方ないことですが、この絵本の先にはボランティアの本当の意味を理解する話が展開されていきます。
後半は主人公のマナブが誉められたい、そして注目されたいから手助けをするという考え方から、本当の意味のボランティアとは何かということに辿り着くまでの葛藤や友情が描かれています。また関西弁であることが少しポップさを醸し出し思わずくすっと笑えちゃう作品でもあります。
この作品を通して日本人独特の人に迷惑を掛けないようにする生き方に、困ったときには助けてくださいと言える勇気を、そして人に関心を持ち当たり前のようにさり気無く手を貸すことができる子供達が一人でも多く出てくることを願います。