技術士二次試験(化学部門)情報
1.二次試験直前・当日・直後の注意事項
7月15日に試験がありました。お疲れ様でした。ここまで頑張ってきた自分を褒めてあげましょう。以下直前・当日・直後の注意事項です。参考にしていただければ幸いです。
<試験直前の留意点>
☑手書き(25分/1枚)、ひらがな、漢字練習
☑マイ筆記用具(複数、透明定規、消しゴム)の準備
☑持参品:セーター、スリッパ、ティッシュ、ペットボトル、健康ドリンク
<試験当日の留意点>
☑注意:解答用紙記載ミス、問題番号の記載、設問の数
☑昼食(昼食無し?、カロリー補給食品?)
☑時間配分 Ⅱ、Ⅲ合計6枚/3.5h 解答順序
<試験直後の留意点>
☑Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの復元論文作成(必ず翌日までに実施)
☑余裕があれば解答時間内に標題だけはメモ
2. 令和6年度第二次筆記試験
10月31日に令和5年度の筆記試験の合否発表がありました。合格された方、本当におめでとうございます。口頭試験の準備に直ちに取り掛かることをお勧めします。口頭試験は、化学プロセスの12月2日から始まり、来年の1月7日の有機化学で終了します。吉報をお待ちしております。
試験の合否に最も影響を及ぼすⅠの問題はR6年度も①化学産業の課題と解決策、②化学産業のSDGsへの貢献に関する内容と予想しております。その中でのメインテーマは、昨今の化学産業を取り巻く環境変化から
①化学産業の課題
1)デジタル化対応、2)人材有効利用、3)国際競争力向上、4)他分野との協業
②化学産業のSDGsへの貢献
1)GX対応、2)SDGs向け素材での貢献、3)化石系資源の有効利用や削減、4)温室効果ガス削減への貢献
の8つから出題されると予想します。最もこれだけ挙げればどれかは当たるはずですが・・・
予想が当たる外れるは大きな問題ではなく、日ごろから化学産業の将来性について問題意識をもって学習している技術者であれば、どんな問題がでてもレベルの高い技術士論文が記載できるはずです。
論文(特にⅠ(1):必須科目、課題)記載上、重要なことは以下の7つです。
①設問に合致した標題や内容になっているか?
②標題と内容にズレが無いか?
③問題点は化学産業に関連するものであり、数値や出典を入れ根拠づけをしているか?
④課題は、問題点から抽出された内容となっているか?
⑤観点は課題の一つ上の視座からの内容で、他の2つの観点と切り口的にふさわしいか?
⑥課題の補足説明を入れて内容の充実を図っているか?
⑦(2)で詳述するなら、「(2)で詳述する。」というワードは入れているか?この場合⑥は省略しても良い。
採点者は「(1)-1を見て不合格の場合には、その後は読まない。」という情報もあります。
2.令和4年度第二次口頭試験
結果発表は2023年3月にあるとのことです。詳細は日本技術士会HPをご参照ください。
ここでは直前の注意事項をお知らせします。また、6項目のコンピテンシーの「化学部門に特化した定義や観点」を”お役立ち情報”の中に掲載しました。長年の化学部門の試験対策に携わってきた経験や知見から自分なりに構築した内容です。参考にしてくだされば幸いです。
*口頭試験の想定問題と回答集を作成したのだけれど「回答はこれで良いのか?」不安な方、「昨年度の化学部門の口頭試験の質問内容が知りたい」方は、”お問合せフォーム”にてお問合せください。試験直前の対策としてお役立て下さい。
<直前口頭試験注意事項>
①質問の趣旨(コンピテンシー)の明確化と適切回答
ご存じの通り、口頭試験の点数は、6項目のコンピテンシー(評価、マネジメント、コミニケーション、リーダーシップ、技術者倫理、継続研鑽)により決まります。試験官の質問は、コンピテンシーの中のどの項目に関する質問かを瞬時に把握し、そのコンピテンシーに準拠した回答を心掛けて下さい。
②想定外の質問の場合の対処方法
•もう一度質問してくれるようお願いして下さい。優しい試験官なら言葉を変えて質問してくれますので、実は想定内の質問である場合が多いです。また、質問することで回答の準備の時間が生まれます。
•質問を聞き返しても、やはり想定外の質問の場合には、「こういう観点から回答してもよろしいでしょうか?」と許可を取った上で、自分の準備した内容を回答することをお勧めします。「当たらずとも遠からず」です。自分の回答を信じて堂々と回答しましょう。
③試験官との議論
試験官の意見を否定するような議論は絶対に避けてください。コミュニケーションの点で不利になります。何か言わなければならない状況なら、「おっしゃる通りだと思います。ご意見は十分理解します。一方で、私は認識不足かもわかりませんが、こういう考えを持っています。」と言って自分の意見を発言してください。それでも議論が続くようならば、「私の勉強不足です。継続研鑽の一環として今日家に帰って勉強します。」といって議論を終わらせてください。
④技術者倫理
・倫理違反の発言は一発退場となります。例えば、「データ改竄」、「法規違反」を黙認するような発言は絶対にしないでください。
・化学部門にとって特に重要な倫理は、以下の2点です。
公益の最優先(過去の負の遺産である公害の再発防止)
安全性の確保(危険物を取り扱う場合が多く、些細なミスが重大な事故につながる)
⑤継続研鑽
・化学部門にとって特に重要な継続研鑽は、技術士化学部会が主催する講演会等のイベントです。小職も非常に勉強になっています。皆さんも日本技術士会に入会し、化学部会や化学部会若手の会が主催するイベントに参加して継続研鑽していただければ幸いです。化学部会のメンバーは皆さん非常に優秀で、”将来の財産”となる人脈も形成できます。
以上吉報をお待ちしております。
3. 令和5年度第二次筆記試験
令和5年度の二次筆記試験の合格発表が2022年11月にありました。化学部門の筆記試験合格者は27名でした。
仕事やプライベートに超ご多忙な中、ここまで勉強してきた自分を褒めてあげましょう。本当にお疲れ様でした。
合格された方は、想定質問とその回答案を作成し、回答は声を出して練習することをお勧めします。口頭試験では、ここ3年間1名の方が不合格となっていますので、その1名にならないようキッチリ準備してください。
残念な結果に終わった方は、試験で記載した論文の改良から始めることをお勧めします。本年中から再スタートを切ってください。
また、口頭試験含めた二次試験結果発表後、技術士会に「開示請求」をおこなえば点数がわかるので、自分の書いた論文と照合することができます。できればその再現論文を技術士の先輩や添削指導者に確認してもらい、良かった点、悪かった点を自分なりに理解しておくと将来かならず役に立ちます。
4.令和3年度第二次試験結果
化学部門の統計数字は以下の通りです。
申込者数:156人(100%)
受験者数:134人(86%:対申込者数)
筆記試験通過者数:25人(16%:対申込者数)
合格者数:24人(15%:対申込者数)
残念ながら合格されなかった方、来年度に向け準備を進めてください。第一線で活躍されている技術者であれば、諦めずに一生懸命勉強すれば必ず合格できる試験です。
5.令和5年度筆記試験のⅠの問題
傾向としては、”縛り”が強くなっています。これは、準備したパラグラフを単純に転記しただけの解答を合格としないためであり、”技術士としての真の実力を問う”素晴らしい問題でした。近日中に詳細をアップします。
6.令和4年度筆記試験Ⅰの問題
令和4年度の特記テーマは「異分野と協業する上での化学産業の役割」と「化石資源の燃料以外への使用に対する化学産業の貢献」です。
R3年度の特記テーマは「デジタル化」と「脱炭素社会」です。
特記テーマ(いわゆる”縛り”)が異なるだけで、令和4年度も令和3年度も、基本的な論文骨子は、「持続可能な社会に向けての化学産業の課題と貢献」です。
日頃から①「化学産業の将来性」、②「化学産業のSDGsへの貢献」について問題意識を持っている技術者であれば、論述解答しやすい問題ではないでしょうか?