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Rare minerals Research, Kyoto

【日本産新鉱物】 津軽鉱 Tsugaruite

2023.01.14 15:00

津軽鉱 Tsugaruite IMA1997-010 Tsg 

Pb28As15S50Cl;直方晶系 

IMAステータス:"Special procedure" (再定義・鉱物名変更が行われ,IMAに承認された有効な種) 

鉱物名:産地 (旧津軽国) にちなむ. 

模式地:青森県平川市 湯ノ沢鉱山 

模式標本:東京大学総合研究博物館;国立科学博物館 (NSM M-27594) 

原記載:清水正明 (富山大学),宮脇律郎 (国立科学博物館),加藤 昭 (国立科学博物館),松原 聰 (国立科学博物館),松山文彦 (東京大学),清田 馨 (東京大学) 


 津軽鉱は青森県から最初に発見された新鉱物である.この鉱物の化学式は,原記載 (Shimizu et al., 1998) ではEPMA分析の結果からPb4As2S7が提案された.しかし,最近になって単結晶X線回折による結晶構造解析が成功し,塩素が構造中の特定に位置を占めていることが明らかになり,EPMAによる再分析も行われ,0.63 wt.%のClが検出された.その結果,化学式はPb28As15S50Clに修正された (Biagioni et al., 2021).構造解析がなされていない段階で,硫塩中の1 wt.%にも満たない塩素を必須成分と判断することは困難であるから,原記載での理想式は当時としてはやむを得ないことであったと思われる.


青森県平川市 湯ノ沢鉱山;模式地 (Yunosawa mine, Hirakawa, Aomori Prefecture; Type locality).FOV ~2.8 mm.


文献 

  1. Biagioni, C., Bindi, L., Momma, K., Miyawaki, R., Matsushita, Y. & Moëlo, M. (2021) Determination of the Crystal Structure and Redefinition of Tsugaruite, Pb28As15S50Cl, the First Lead-Arsenic Chloro-Sulfosalt. The Canadian Mineralogist, 59, 125-137.
    https://doi.org/10.3749/canmin.2000005 (IMA第二文献)